▲2022年の第98回大会。中央大学6区の若林陽大選手と当時定期運用引退目前だったVSEが並ぶ。
’22.01.03 箱根登山鉄道 箱根湯本 P:井手芳男
(今日の一枚より)
毎年恒例、お正月を彩る箱根駅伝。今年は記念すべき第100回大会ということで、より注目を集めています。そんな箱根駅伝ですが、意外にも鉄道は大きく関係しています。
【写真】懐かしの京急臨時ダイヤでの珍しい行先表示の写真はこちら!
■コースを横切る踏切 時にはドラマも生んだ
現在、箱根駅伝のコース上には、箱根登山鉄道の小涌谷踏切が1ヶ所あります。列車がやってきてランナーを遮断してしまわないように、ここでは係員を配置することでランナーを行かせて列車を止めるという、珍しい光景を目にすることができます。
ですがかつてはより高頻度の運転を行なう鉄道の踏切が1区と10区のコース上に存在していました。それが京浜急行の蒲田第一踏切です。京急蒲田駅から空港線に向けて、大きくカーブを描いて第一京浜を横切る踏切は名物の一つでもありました。
こちらでも踏切が存在した当時は臨時ダイヤで運行されていました。京成・都営線からの空港線直通列車は川崎止まりに変更されたり、新逗子から本来羽田空港へ向かう列車は品川行きに変更され、空港線は折り返し運転するといった配慮がなされていました。とはいえ、空港アクセスを長い時間止めるというわけにもいかないため、係員の誘導でランナーたちの隙を突いて列車が走ることも。時にはランナー通過時に踏切が降りてしまいゆく手を阻まれることもありましたが、2012年10月に高架が上下線ともに完成し、この踏切は廃止されました。
また、東海道本線戸塚駅前にあった踏切(東海道踏切・通称 戸塚大踏切)もかつてコースに含まれ、ここも様々なエピソードが残る場所でしたが、昭和30年代に現在のバイパスを経由するルートに変更。この踏切を通ることは無くなりました。
■ランナーと並走する「ロマンスカー」
もう一つ見逃せないのが、5区・6区の箱根湯本駅付近で見かけることの多い箱根登山鉄道を走るロマンスカーたちです。次々とランナーが通過していく中、タイミングが合うと箱根湯本の駅に停車、または走行しているロマンスカーとランナーたちが共演することも。こうした場合、テレビ中継にもしっかりとロマンスカーが映し出され、その目立つ車体デザインからも「走る広告塔」としての役割を存分に発揮します。
2019年の第95回大会ではランナーが通過するタイミングで、ちょうど当時デビューしたばかりで初の年越しを迎えた70000形GSEが、しっかりとテレビ中継に映り込み話題となったほか、2022年の第98回大会のテレビ中継では、2022年3月での定期運行終了を控え「定期最後の箱根駅伝」を迎えた50000形VSEがランナーが通過するちょうどのタイミングで映し出されるなど、レイル・ファンでなくてもついつい気になってしまう名脇役として君臨しています。
先述の通り、今年は記念すべき第100回。どんなレースになるのか、沿線の鉄道の様子も含めて非常に気になるところです。