185系

特集・コラム

25周年の「サンライズエクスプレス」現代版夜行列車の軌跡をたどる

2023.07.17

text:鉄道ホビダス編集部

 新しい寝台車のカタチを提案した285系「サンライズエクスプレス」の登場から、2023年7月10日で四半世紀が経過しました。ブルートレインだった「出雲」「瀬戸」を近代化し、今なお人気列車のひとつとして君臨し続けています。そんな285系の登場から現在まで、そして近年再び盛り上がりを見せはじめた夜行列車について触れていきます。

↓285系「サンライズエクスプレス」の名シーンはこちら↓

■1998年、「瀬戸」「出雲」は大変革を迎えた

 寝台「電車」となる285系は、従来までの寝台車の主流であった機関車が客車を牽引する方式ではなく、動力分散式の電車方式となりました。寝台電車は国鉄時代の581・583系以来の製造となりましたが、これらは夜は寝台車、昼間は座席車と昼夜兼任をする構造となっていました。一方285系はそうではなく、純粋な寝台車(一部座席扱いのカーペット車も連結)として製造され、「瀬戸」と「出雲」2・3号を置き換える形で投入されました。

 また製造過程で、個室寝台がメインの285系は、通常の鉄道車両のように車体を作って艤装すると、狭いスペースでの作業が予想されました。これを避けるべく、あらかじめ車体とは別に機器・配線含めたパネルを作り、それを車体内で組み立てる「パネル工法」を採用し工数・工期の低減を実現しました。

 こうした工法を成立させるためと、ぬくもりある空間演出を求めた結果、内装は住宅メーカーも参入して開発するという、これまでにない斬新な鉄道車両として285系は誕生しました。

■最後の定期寝台特急に

▲往年の名機と「サンライズエクスプレス」が約13年ぶりに品川で共演。

‘22.01.30 品川駅構内車両基地(撮影イベント) P:長井竜平

 そんな285系ですが、2009年の「富士・はやぶさ」廃止により最後の東京発寝台特急に。さらに「北斗星」「カシオペア」「はまなす」といった本州から北海道へ直通する夜行列車群が、新幹線の開業によって続々廃止となり、「サンライズ瀬戸・出雲」は現在、名実ともに国内に残る最後の定期夜行列車となってしまいました。

 長距離列車は時代と共に在来線から新幹線へとシフトしてゆき、こうした夜行列車は縮小の一途を辿りましたが、列車が持つ旅情そのものを売りとした夜行列車も近年登場する傾向にあります。

■息を吹き返しつつある夜行列車

 先述の通り、移動を目的とする夜行列車は減少しましたが、「乗る」ことを目的とした新しい夜行列車が今徐々に登場しています。その一つが「WEST EXPRESS 銀河」でしょう。2020年に運行開始した臨時列車で、夜行運転の設定もあるほか、座席扱いながら寝転がれるベッドも設置しており、これは往年の開放式寝台を思わせます。

 さらにJR東日本でも、昨年秋観光列車である「海里」を使用し「夜想(ノクターン)海里」として夜行運転を実施したほか、今年9月にはE655系「なごみ」での仙台〜上野間の夜行運転が予定されています。

 285系「サンライズエクスプレス」が打ち出した新時代の夜行列車という提案は、こうした観光列車たちにも大きな影響を与えたように思えます。

↓285系「サンライズエクスプレス」の名シーンはこちら↓

  • このエントリーをはてなブックマークに追加