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【食パン電車】食べ物に例えられた色と形 ファンが名付けた鉄道車両の「あだ名」

2023.07.18

text:鉄道ホビダス編集部

 鉄道車両には個別に与えられる形式の他に、親しみを込めて鉄道会社がそれぞれ愛称を設定する場合があり、特に特急型では多い傾向にあります。そんな公式愛称の他に、いつの間にかレイル・ファン側で付けられた非公式なあだ名というのも多く存在します。そんな中でもとりわけ食べ物にまつわるものを一部ピックアップしてみました。

↓今回取り上げた「食べ物由来の」あだ名を持った車両写真はこちら!↓

■カラシ(EF65 JR貨物広島更新色・2127号機)

‘22.7.8 東海道本線 蒲原~新蒲原 P:中井琢也
(鉄道投稿情報局より)

 この塗装はJR貨物所属EF65の中でも、広島車両所で更新工事が施工された車両で呼ばれます。広島車両所で更新工事を受けたEF65 1000番代は、前面貫通扉もからしのような黄色に塗られたことからいつしかそう呼ばれるようになりました。以前はいくつかこの塗装を纏ったEF65が存在しましたが、現在では2127号機のみとなり、現在「カラシ」と言うとこのナンバーを指す愛称ともなっています。

■フルーツ牛乳(E653系いなほ色)/牛乳パック(EF64貨物更新色)

 車両的に濃いつながりがあるわけではないE653系とEF64ですが、乳製品に例えられた車両ということでまとめてみました。オレンジ色の濃淡を合わせたいなほ色、そして紺色をベースに太い白帯が貫くEF64の更新色は確かに乳製品のパッケージを思い起こさせるデザインかもしれません。

■タラコ(首都圏色)

 1975年に登場し、以来全国の一般型気動車に波及した朱色5号の1色塗り、いわゆる「首都圏色」ですが、その色合いから「タラコ色」と言われることもしばしば。最初はあまり好意的に受け入れられなかったというこの色ですが、地域色の波及や新型車の導入で数を減らしていきます。そして時代が進むにつれ懐かしむ対象となり、近年ではリバイバル塗装として復刻されたりもしました。また、JR西日本が進めた単色化のうち気動車はこの色に塗られることとなり、まさかの形での復活となりました。

■カフェオレ(113・115系JR西日本関西更新色)

 221系や223系といった「新快速」で運用される車両の帯色を思わせるような茶系ツートンに、コーポレートカラーである青帯のアクセントが入る113系と115系の更新色。その色合いから「カフェオレ色」とあだ名されました。このカフェオレ色は線区問わず関西圏を中心にさまざまな路線で見られましたが、単色の地域色化が進むにつれて減少し、2017年に消滅しました。ちなみに主に関西圏ではベージュだった地色ですが、広島地区は白色でした。そのため広島タイプの更新色は「ミルクオレ」と呼ばれることもありました。

■抹茶色(JR西日本 京都地域色)

 JR西日本が進めた単色の地域色の一つであるこの京都地域色。土地柄もあるのか、この緑色一色の電車は「抹茶色」と呼ばれるように。このカラーリングは113系のみならず117系にも塗られていましたが、京都地区の両系式に関しては2023年3月ダイヤ改正で引退。今は福知山支所所属の113系2両6本のみで見られます。

■食パン(419系・715系)

’08.3.8 北陸本線 武生 P:楢井勝行
(消えた車両写真館より)

 さて、色にまつわるあだ名が多かったですが、この「食パン」はその形に由来します。こう呼ばれた419系・715系電車は、寝台特急の減少などで余剰気味だった581系・583系を改造したことで生まれた系式で、種車の先頭車をそのまま活用した車両については面影が残っています。

’08.3.8 北陸本線 武生 P:楢井勝行
(消えた車両写真館より)

 ですが、短編成化する際どうしても足りない先頭車については、中間車の先頭車化改造によって賄われることとなりました。その先頭車は平滑な切妻構造となった上に、581系・583系の背の高い車体構造をそのまま活用したため、食パンのような見た目となったことからこう呼ばれるようになりました。

 この食パン電車一族、民営化後はJR西日本に419系が、JR九州に715系0番代が、JR東日本に715系1000番代が引き継がれましたが、JR九州とJR東日本の715系に関しては1998年に引退し、長らく残っていた北陸地区の419系に関しても新型車両の登場によって2011年に引退しました。

 食べ物や飲み物に例えたくなる鉄道車両たち。こうしたあだ名も親しまれている証とも言えるでしょう。

↓今回取り上げた「食べ物由来の」あだ名を持った車両写真はこちら!↓

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