text:鉄道ホビダス編集部
▲タイ国鉄には元ブルートレインである14系と24系が渡った。
‘19.1.13 タイ国鉄 フアランポーン P:池上耕史
(今日の一枚)
普段様々な場面で乗る鉄道車両ですが、もちろんこれらは機械であり、技術の進歩とともに老朽化や内装の陳腐化などは避けては通れません。そのため、後継車両となる新型が登場すると廃車となってスクラップになる場合もありますが、一部は新たな活躍の場を与えられ、走り続けることもあります。そしてその新天地は日本国内であるとは実は限らないのです。
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■海を渡った日本の車両たち
日本では活躍を終えた車両が、海外で整備の上活躍を続ける…というのは近年多く見られます。有名なものですとタイ国鉄に渡った元ブルートレインの14系や24系、ミャンマーへ渡った国鉄型と地方私鉄の気動車たち、インドネシアへ渡った首都圏のJR、東京メトロ、東急の通勤型電車などといったものが挙げられるでしょう。
■クリアすべき問題も数多い
▲ピンマナ近郊を行く、もとキハ52。車両限界の関係から、日本時代よりも背丈が低くなっているのが印象深い。(ミャンマー国鉄の許可を得て撮影)
‘17.8.28 ミャンマー国鉄 ピンマナ近郊
(鉄道投稿情報局より)
もちろん日本と海外とでは、軌間や車両限界など、細かく路線の仕様は違います。これらの諸問題を改造によってクリアしなければなりません。ミャンマーへ行ったキハ52などは日本より小さい車両限界をクリアするためにベンチレーターの撤去や車体をカットし高さを切り詰める改造をしています。また、タイ国鉄はメーターゲージと言われる幅1,000mmの軌間になるので、日本の1,067mm軌間から狭める改造が行なわれています。
また、車両を運用し続ける上で日々のメンテナンスは非常に重要であり、壊れてしまっては意味がありません。そのため車両とともに日本から技術者も向かったり、あるいは技術研修として日本へ現地技術者が訪れたりする場合もあります。
■日本製4ドア通勤電車が数多く活躍するインドネシア
▲日本で様々な形態差を誇った205系。かなりの両数がジャカルタへ渡ったが、現地でも形態差は健在。いわゆる「メルヘン顔」も譲渡され活躍している。
‘20.1.25 インドネシア KRL Jabodetabek Bogol Line Duren Kalibata〜Pasar Minggu Baru P:大森健史
(今日の一枚より)
インドネシアはジャカルタ首都圏にある通勤路線「KRLコミューターライン」では数多くの日本製通勤電車が活躍しています。現在主力となっているのはJR東日本より譲渡された205系たちです。この205系もかつて日本の首都圏で活躍した様々な線区の車両が渡っており、武蔵野線や南武線、埼京線、横浜線などで活躍した車両が大量導入されました。もちろん現地に合わせた改造は行なわれているものの、基本スペックは大きく変わらず(KRLコミューターラインは軌間1,067mm、直流1500Vと日本とほぼ変わらない)、日本時代よりも長い最長12両編成で今も第一線で活躍しています。
元々製造年次や活躍した路線によって細かく形態分類ができる205系ですが、インドネシアでの大量導入により国鉄生まれから民営化生まれ、山手線由来の6ドア車サハ204組込編成から、武蔵野線に在籍したいわゆる「メルヘン顔」の編成やVVVF化改造車など、多岐に亘る205系を今も見ることができます。もちろん205系以外にも東京メトロの05系や6000系、7000系、東急の8000系と8500系の他、少数派ではありますが常磐線で活躍したチョッパ車203系も現役です。
これら海外譲渡された懐かしい車両に会いに、はるばる日本から現地へ向かうレイル・ファンも多いほか、逆に現地で日本からの譲渡車両のファンが付いたりと、文化的側面から見ても興味深いところがあります。
第二の人生を歩む日本の鉄道車両たち。現地でも綺麗に整備され、これからも末永く活躍してくれることでしょう。
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