text:鉄道ホビダス編集部
photo:羽田 洋・RMM
今日は東北新幹線の開業からちょうど40年の節目の日。この40年で車両も列車名も大きく変わりました。そんな東北新幹線の歴代車両を、鉄道模型誌『RM MODELS』掲載のNゲージ製品写真でその進化の歴史を振り返っていこうと思います。
■200系
●TOMIX製品
▲現在TOMIXでは東北・上越新幹線の開業40周年を記念して、登場時の「E編成」を再現したモデルが8月発売予定となっている。(※写真は試作品です)
耐寒・耐雪仕様の新幹線として東北・上越新幹線の初代車両である200系ですが、製造年や編成組み替え、分割併合装置取付改造やリニューアルなどにより多くのバリエーションが存在するのがポイントです。上写真の200系は、開業翌年の1983年に登場した「F編成」と呼ばれる240km/h対応の12両編成です。基本的に1000・1500番代中心の編成でしたが、中には基本番代からの改造編入車もありバラエティーは多彩でした。
●TOMIX製品
また200系には東北新幹線の歴史上唯一の貫通16連として君臨した「H編成」も存在しています。実物は平屋の12両F編成のうち、主に先頭車が100系タイプのシャークノーズ(200番代・2000番代)の編成を対象に2階建て車を追加した編成で、1990(平成2)年には13両で登場、翌年には16両に増結され、主に「やまびこ」で運用されました。
■400系
●TOMIX製品
400系は、ミニ新幹線と言われる新在直通運転の第1弾である山形新幹線用に登場した車両で、1990(平成2)年に試作車が落成、その後1992(平成4)年に量産車が登場しました。この塗装は1999(平成11)年の新庄延伸時に変更されるまでのもので、それまでの新幹線車両の塗色の概念を破るシルバーメタリックの塗装は、登場当時話題となりました。
■E1系
●TOMIX製品
E1系は1994(平成6)年に登場した史上初のオール2階建て新幹線「Max」として登場した車両です。また、この系式から初めて「E○系」という現在のJR東日本新幹線車両に続く付番方法になりました。東北新幹線での活躍は、1994年の登場から後継となるE4系に統一される1999(平成11)年の5年間のみの短い期間でしたが、その後は上越新幹線にその活躍の場を移し、塗装変更などを経て、2012(平成24)年に引退しました。
●TOMIX製品
写真のTOMIX製品は、2018年に限定12両セットとして発売されたものです。東北新幹線で活躍していた頃纏っていたスカイグレー+シルバーグレーをベースにピーコックグリーンの帯を巻いていた旧塗装のモデルとなっており、イラストと模型写真が配されたオリジナルパッケージまで用意されていました。
■E2系
●TOMIX製品
E2系はそれまでの200系に代わる新たなJR東日本の新幹線主力車両、また北陸(長野)新幹線「あさま」用として開発された車両です。写真の1000番代はE2系基本番代のマイナーチェンジ版で、東北新幹線八戸延伸に備えて2001(平成13)年に登場しました。車体が全面的にダブルスキン構体が採用されると共に、普通車側窓が座席2列分の広幅となったのが外観上の特徴です。パンタグラフも下枠交差型から低騒音ガイシ付きのシングルアーム式(PS207)となったことでそれまでのパンタカバーが廃止されたのもポイントです。
●TOMIX製品
現在は東北新幹線の他、上越新幹線でも活躍を続けており、最近ではそれぞれの新幹線が節目を迎える「新幹線イヤー2022」を記念して、200系カラーに塗り替えられた編成が登場しました。ですが、後継車であるE5・E7系などによる置き換えも進んでおり、その数を徐々に減らしつつあります。
■E3系
●KATO製品
▲KATO製品は「オープンノーズカプラー」を装備し、実車同様にカプラーカバーが左右に「チラ見え」している状態を再現できるのが魅力だ。
E3系はミニ新幹線の第2弾である秋田新幹線「こまち」用に導入された車両で、その後山形新幹線新庄延伸時に導入された1000番代と、400系の置き換えのための2000番代が増備されました。基本番代はE6系の導入により「こまち」から2014年に撤退。その後、E5系「やまびこ」「なすの」の付属編成として東北新幹線内運用に就いていましたが、こちらも2020年に撤退し本線上から姿を消しました。
●KATO製品
●TOMIX製品
●ラウンドハウス製品
山形新幹線用は番代による違いや、2014年の塗装変更、観光列車である「とれいゆつばさ」の改造などそのバリエーションは多岐に渡ります。Nゲージでは各仕様が製品化されており、実車同様のバラエティー豊かな編成を楽しむことができます。
■E4系
●KATO製品
E4系は新幹線の輸送力を増強する目的で製造されたE1系の改良型として1997(平成9)年にデビューしました。E1系と同じく「Max」の愛称を持ち、全車2階建て・最高速度240km/hとなっています。最大の特徴としては運用上の利便性を図るため、基本編成を8両とした代わりに、分割併合装置を装備したことで2編成連結した16両編成とすることができた点で、この時の定員数は1634人と、高速鉄道での世界最大級を誇りました。
東北新幹線では運用開始時から長らく活躍し、ミニ新幹線で車体の小さい「つばさ」との併結は凸凹コンビとして名物でしたが、E5系登場後の高速化の波に乗れず2012(平成24)年で撤退。その後は上越新幹線に活躍の場を移しましたが、こちらも2021(令和3)年をもって引退しました。
■E5・H5系
●KATO製品
●TOMIX製品
青函トンネルを駆け抜け、東北・北海道新幹線を走破する現在の主力系式にまで成長したE5・H5系。「グランクラス」や車体傾斜装置といった新機軸を多く盛り込んだE5系は、2009(平成21)年に量産先行車が登場しました。その後、東北新幹線全線開業直後の2011(平成23)年に「はやぶさ」として営業運転デビューしました。登場当初の最高速度は暫定的に300km/hでしたが、その後2013(平成25)年からは320km/h運転を開始し東北新幹線、ひいては日本の新幹線の高速化に文字通り貢献した車両でもあります。
2016(平成28)年には北海道新幹線が開業し、それに合わせてJR北海道所有のH5系も運用を開始。ほぼ同一の仕様ですが、車体の帯色や内装が違っており、それぞれで差別化されています。
■E6系
●KATO製品
2013(平成25)年に「スーパーこまち」としてデビューしたE6系。こちらも登場時は暫定的に東北新幹線内の最高速度は300km/hとされていましたが、E3系の置き換えが完了した2014(平成26)年からは、名称も「こまち」に統一した上で320km/h運転を開始しました。E5系などと同様に車体傾斜装置を装備するE6系ですが、東北新幹線内ではE5・H5系「はやぶさ」と併結運転を行なっており、こちらは東北新幹線の名物となっています。
■E926形新幹線電気軌道試験車「East-i」
●マイクロエース製品
ミニ新幹線を含むJR東日本と直通先の新幹線全域をカバーする検測が可能なE926形、通称「East-i」。E3系をベースに、2001(平成13)年に製造され、北陸新幹線の入線に対応するため周波数50/60Hz両用・抑速ブレーキ強化仕様となっています。運行ダイヤは非公表となっており、東海道・山陽新幹線のドクターイエローと同様にその神出鬼没さからレイル・ファンのみならず、多くの利用客の注目を集める車両となっています。
写真のNゲージはマイクロエースからリリースされたもので、E3系のフォルムを受け継ぎながらも、試験車然とした独特の外観を再現しています。
今回はNゲージ製品写真で東北新幹線歴代系式を振り返ってみました。延伸開業やミニ新幹線に乗り入れる分割・併合列車、乗客ニーズや時代に合わせた車両など、さまざまな形態・塗装の車両が多く存在して楽しめる点が、ファン目線で楽しいポイントではないでしょうか?現役の車両から引退した名車たちまで、ぜひ鉄道模型の世界でもバラエティー豊かに楽しみたいジャンルですね。
※写真のNゲージ製品は、旧製品や現在発売されていないものも含まれます。あらかじめご了承ください。