JR東日本は、新たな新幹線専用検測車E927形を開発し、2029年度中に運用を開始すると発表した。グループ経営ビジョン「勇翔2034」で掲げる“究極の安全”の実現に向け、AIなどの新技術を活用した検測機能の強化を図る。

E927形は7両編成で、東北・上越・北陸・山形・秋田の各新幹線を検測する。最高速度は320km/hで、現行の電気・軌道総合検測車E926形「East-i」の275km/hを上回る。
新形式では、車輪とレールの間に作用する力(PQ)を推定する「PQ推定システム」を新たに搭載する。台車に設置した複数のセンサで揺れや傾きなどを計測し、車輪・レール間に働く力を推定することで、線路状態の評価精度を向上。レールのゆがみだけでなく、その進行に影響する力も把握できるようになり、より効果的な予防保全につなげる。なお、同システムは鉄道総合技術研究所が開発した技術をベースとしている。

また、1号車と7号車の先頭部、3号車の側方および屋根上に計48台のカメラを設置する「新幹線車上撮影装置(仮称)」を採用する。高精細画像を連続撮影し、設備状態や沿線環境の変化を記録することで、構造物検査や沿線樹木の管理などに活用する。今後はAIによる画像判定や異常箇所の自動抽出も視野に入れ、開発を進めるという。
JR東日本によると、これらの装置を搭載した検測車が320km/hで検測を実施するのは国内初の取り組みとなる。あわせて、省人化や遠隔からの無人検測の実現も目指す。

新検測車の愛称は「SOAR(ソアー)」。「勇ましく、翔け上がる」という意味を込めて命名されたもので、英語の“SOAR(翔ける)”にも由来する。名称中の「O」は、事故・事象ゼロを目指すという思いも表現している。
車体デザインは、現行のEast-iが採用する白を基調としながら、「勇翔2034」の“勇”を表す赤系統、“翔”を表す緑系統のカラーを採用。側面はアシンメトリーなデザインとし、変化し続ける線路や架線の状態を検測し、安全な輸送を支える使命を表現したという。実車デザインの細部は、E10系新幹線のデザインを担当した英tangerine社と連携し、2026年秋頃までに仕上げる予定。
現行のEast-iは6両編成で2001年から活躍してきたが、E927形「SOAR」は最高速度の向上に加え、新たな軌道・設備モニタリング技術を搭載し、次世代の新幹線保守体制を支える存在となる。
(画像はいずれもプレスリリースより)

