鉄道友の会(会長 佐伯 洋、会員約3,000名)は、京福電気鉄道 モボ1形をブルーリボン賞(最優秀車両)に、また、東武鉄道 80000系および伊予鉄道 7000系をローレル賞(優秀車両)に選定しました。
今回でブルーリボン賞は第69回、ローレル賞は第66回となります。
■2025年ブルーリボン賞 京福電気鉄道 モボ1形 解説・選定理由(プレスリリースより)

P:鉄道友の会
京福電気鉄道モボ1形は、「嵐電(らんでん)」こと同社の嵐山本線および北野線で使用する新型車両として2025年2月から営業運転を開始した車両で、「KYOTRAM」(きょうとらむ:京の街を彩る路面電車)の愛称があります。モボ 1 形は、京都に唯一残る路面電車として、沿線のまち・ひと・くらしに馴染み、過去・現在・未来をつなぐ時代を越えるデザイン(Timeless Design)という考え方で造られました。外観では、先頭部に路面電車の伝統的なラウンドフォルムを採用し、側面は水平基調で統一した屋根・腰帯・台枠飾り板・バンパー・スカートで近代的な印象を持たせています。車体は鋼製で、両開きの扉を採用して出入口幅が拡大されました。車体色は、嵐電の象徴である京紫色を基調に、シルバーの腰帯と上下に白・黒・グレーを組み合わせています。また、「嵐」と「電」それぞれの文字のルーツに立ち返った図形の組み合わせをモチーフに嵐電のロゴマークが制定され、車体や車内の各所に添えられました。
車内の小天井と床は木目調、平天井と側壁はモノトーン、座席や仕切りに京紫色のアクセントで彩られた内装で、荷棚を廃止して車内を広く見せ、湾曲した小天井部に暖色系 LED 照明を用いて車内全体に柔らかく光が回る設計としています。 車内の縦手すりは座席側に湾曲させることで、立客の位置を自然に座席側に寄せ、通路幅を広くさせます。また、座席端部の手すり一体型の大形袖仕切板に加え、座席の中央部には小型の仕切板を備えることで、快適に着席できるように配慮されています。走行機器では、ハイブリッド SiC による VVVF インバータと回生ブレーキを併用した電気指令式ブレーキを組み合わせ、走行電力を従来の抵抗制御車両の半分程度としています。
モボ1形は、今回の会員投票による得票数が最も多かった車両です。また、吟味されたデザインコンセプトをはじめとして、車外設備では薄型のガラス一体型 LCD 案内表示器を用いた多言語案内の導入や、座り心地を熟慮したバケットシートの採用を行うなど、各所が作り込まれた完成度の高い秀逸な車両として評価し、ブルーリボン賞に選定しました。
■2025年ローレル賞 東武鉄道 80000系 解説・選定理由(プレスリリースより)

P:鉄道友の会
東武鉄道80000系は、アーバンパークラインの新型車両で、「人と地域が共に輝きつづける社会」の実現と、子育て世代の家族の快適利用がコンセプトです。東武鉄道は、2030 年度に CO2 排出量約 50%削減(2013 年度比)を目指し、80000系は、老朽車両の置き換えと同時に、適正な列車本数確保による沿線の需要に対応するため、従来の6両編成を5両編成化し、新技術導入と合わせて、省エネルギーを実現します。60000系5両化においてねん出した1両を一部編成に組み込み、有効活用されます。
車体はアルミダブルスキン構造で、「フューチャーブルー」と「ブライトグリーン」のラインを施し、前面非常扉の窓を低くし、運転室と客室との仕切り開戸窓も低くして子供でも展望を楽しめる構造としています。全車両にフリースペースを設け、車椅子利用、ベビーカー・大型荷物に対応しています。スペースのあるM1車端部外板には、大きなシャボン玉をグラフィックでデザインしています。
主回路は、主制御装置にフルSIC VVVFインバータ、主電動機に同期リラクタンスモータを採用し、消費電力低減を実現しています。補助電源システムには静止型インバータのほか、電力貯蔵用インバータ装置とリチウムイオン2次電池からなる車上バッテリシステムを搭載し、回生電力を車上バッテリに充電することで、回生失効を削減し、補機電力として使用します。車両情報制御システムは、Synaptra(シナプトラ)を採用し、運転制御、モニタリング、補器制御、等の機能を有しています。車上データ有効活用システムは、乗車率、車内温度、運転速度、消費電力、機器状態等のデータをリアルタイムで取得し、蓄積・分析して、ダイヤの最適化、省エネ運転の推進、状態基準保全(CBM)等に活用します。一部の車両(2編成)には、施設モニタリングシステム(みまモニ)を搭載し、車内に機器室を設け、軌道変位、軌道材料、レールボンド、地上子、架線のモニタリング・検測を行います。機器室部の外板には、「みまモニ」のグラフィックを配しています。
80000 系は、沿線利用者に配慮した車内設備、省エネや保守支援のための新技術採用など高く評価できることから、ローレル賞に選定しました。
■2025年ローレル賞 伊予鉄道 7000系 解説・選定理由(プレスリリースより)

P:鉄道友の会
伊予鉄道の郊外電車として67年ぶりに導入された完全新設計の車両です。人にやさしいバリアフリー設備の充実、脱炭素化に向けた省エネルギー性能の向上、乗ってみたくなる未来型流線型のフォルム、及びオレンジ色のカラーリングによる愛媛らしさの表現をコンセプトとしています。編成は 3両で、中間がM、両先頭がTcの1M2T構成です。車体はレーザー溶接組立のステンレス製3扉で先頭部のみ鋼製とし、車体長は先頭車17.62m、中間車17.5mで、連結面間は共通の18.2mです。室内は白を基調に座席がオレンジ、床は濃いグレーの配色です。座席は片持ちのロング座席で一人の幅は48cmと広く、荷棚を廃止して窓を上方に広げた明るい室内です。側扉には開閉表示灯とチャイム、点字標記を設け、全扉上部に横長の液晶を配置し、表示は、車内案内および広告の表示用と、広告専用の表示器(デジタルサイネージ) を千鳥配置した構成としており、車側の行先表示や自動放送も含めてPIS 制御器で一括制御されます。運転室のマスコンは T 形ワンハンドルで、運転席位置は視界を考慮して車体中央寄りとしました。
台車は急曲線の通過を考慮したボルスタ付の空気ばね台車で、軸箱支持は円筒積層ゴムの片支持式とし摺動部品を削減しました。駆動系はIGBT素子のVVVFインバータで、1C2M2組で130kWの全閉型誘導電動機4台を制御します。1組のインバータで各台車の前位か後位の1軸ずつの電動機を制御し、起動時に前寄りの軸重が軽くなって空転しても素早い対応ができる配置です。架線電圧は750Vと600Vに対応しています。電気ブレーキは、回生電力を消費する車両がいない場合も考慮して、発電ブレーキ用のチョッパ装置も備えた回生・発電併用です。補助電源装置はハイブリッド SiC 素子を用いた待機二重系で、単編成運行時の信頼性を向上しました。空調装置は、保守作業も考慮して 1 両に 2 台搭載し、制御は全自動です。同車は2026年度中に18両(6編成)を導入予定です。
以上のように、シンプルながら未来志向のデザインの中に、大手民鉄の最新車両と同等の機能を備え、線区の状況や運行経験を反映した独自の仕様は高く評価されるものです。会員からの支持も考慮して、ローレル賞に選定しました。
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P:鉄道友の会


