NEXCO西日本とJR西日本は、新たな「新幹線用トンネル覆工表面検査システム」(通称:次世代SATUZO)について、2017年(平成29年)から共同で開発を進めてきたが、共同開発が完了し、新幹線トンネルの覆工表面検査において実運用した結果、効率化が確認されたと発表した。今後も道路・鉄道の垣根を超えトンネル点検技術のDX推進に貢献していくという。
■開発概要
新幹線用トンネルにおいてより効率的な覆工の点検を実現するため、NEXCO西日本とJR西日本は、JR西日本が2002年(平成14年)に導入した「新幹線用トンネル覆工表面検査システム(通称:SATUZO)」に、NEXCO西日本が保有する「道路トンネル覆工点検システム“eQドクターT”」の技術を採り入れることで、「次世代SATUZO」を共同開発した。「次世代SATUZO」は、2022年3月から実運用が開始され、新幹線トンネル覆工撮影業務において効率化が図られている。
▲開発前の撮像車両(SATUZO) (プレスリリースより)
■次世代 SATUZO の特徴
今回開発した「次世代SATUZO」は、トンネルの断面に対応した角度で配置された9台のラインセンサカメラにより1回の走行でトンネルの半断面を撮影し、上下線を往復して撮影することでトンネル全体を一つの画像として出力するシステムとなっている。
▲開発後の撮像車両(次世代 SATUZO)(プレスリリースより)
▲撮影システム構造(プレスリリースより)
■効率化ポイント
(1)時速50kmでも0.5mmの幅のひび割れを撮影可能とし、これまで時速3~5kmであった撮影速度の大幅な向上を実現。
(2)撮影速度の向上効果を発揮させるため、トンネル形状や位置情報を付与した撮影計画に基づき対象トンネルの前後で録画開始と停止およびレンズ制御を自動化。
(3)撮影中、カントや断面変化に対応するため、レンズのオートフォーカス制御を実現。
(4)強固な防水構造とし、雨天時でもトンネルとトンネルの間で装置を収納する必要もなく、これまで必要であった地上作業を省略。
⇒これらの性能を保有した装置を、既に運用中の検査車両に搭載することで、車両数を減らし効率的にトンネル覆工を撮影することが可能になった。
(プレスリリースより)
■今後について
NEXCO西日本とJR西日本は、本取組みにおいて「次世代SATUZO」」を開発し、運用を開始した。さらに、今後も双方が保有する技術の相互交流によって、広く社会インフラの維持管理に活用するための技術開発に取り組んでいく。