text & photo:三ツ矢健太
JR東海道本線(京浜東北線)および鶴見線の鶴見駅に掲出されていたポスターによると、同駅のメインコンコースと鶴見線ホーム(3・4番線)との間に設置されている鶴見線のりかえ改札機が、2022年2月28日(月)をもって撤去される。
鶴見線のりかえ口に設置されているのりかえ改札機。
そもそもなぜここに改札があったかというと、同駅を除く鶴見線の各駅が無人駅であるため、検札機能を当駅に集中させたというのが実質的な理由と言えた。鶴見線は工場への通勤客の乗車が多く、線内だけで利用が完結する人が少ないこともあって、このような合理化が1971年に行われた(当時は有人改札)。
4番線ホーム(日中は電車が入線しない)から、3番線に入線してきた205系電車を見る。背後にのりかえ改札機が見えている。
しかし鶴見線の歴史を紐解けば、かつては鶴見臨港鉄道(略称:鶴臨〔つるりん〕)という私鉄であり、戦時中に国(鉄道省、後の国鉄)に買収された経緯がある。鶴見駅において、京浜東北線ホームが地平であるのに対し鶴見線ホームが高架で、その屋根もいかにも私鉄の始発駅という趣となっているのは、元々別の鉄道会社であったから…というわけである。
角型のドーム状の屋根を持つ鶴見線ホーム。
▲ホーム終端部は、ホーム間連絡通路にもなっている。左が4番線、右が3番線で、その右手にのりかえ改札がある。
鶴見臨港時代、こののりかえ口には当然ながら改札があったはずだ。しかし国に買収された後、鶴見線各駅が無人化されるまでは、ここで改札をしなければならない積極的な理由はなく、例えば改札ラッチは残されていても実質ノーチェックで通過できていたと思われる。
改札機撤去を告知するポスター。
今回ののりかえ改札機撤去の理由について、ポスターでは明記されていないが、言わば「歴史的使命を終えた」…というところではないだろうか。利用者にとっては利便性が向上するのは間違いないが、元私鉄線らしさを感じさせた情景を、今のうちに目に焼き付けておきたいとも思う。