text & photo:RM
2021年11月24日(水)~26日(金)の3日間、千葉県の幕張メッセにて「鉄道技術展2021」が開催されている。鉄道に関するメーカーや商社、関連会社などが200以上のブースを構え、それぞれが持つ技術をアピールするもので、2年に一度の開催だ。鉄道現業に携わる方向けのイベントであり、その展示も当然100%プロ志向。我々レイル・ファンには敷居の高い部分もあるが、知られざる部品メーカーの高い技術力に感銘を受ける部分も多であった。ここでは取材陣の目についた比較的ファン好みのブースをご紹介しよう。
●車両メーカー
ファンにとってもなじみの深い、実物の鉄道車両を製造するメーカーとしては、日本車輌製造、近畿車輌、総合車両製作所(J-TREC)といった大手の他、除雪車やモーターカーを主力製品とするNICHIJO、車両の改造などを手掛けるJR西日本テクノスやメトロ車両といったところが出展。大手各社からは、次世代標準車のプラットフォームを確立したいという意向が強く窺えた。
▲日本車輌製造は新世代プラットフォームとして「N-QUALIS」を出展。象徴となるNS台車の台車枠実物も持ち込まれた。
▲総合車両製作所では、次世代SUSTINAの車体テストピースを展示。レーザー溶接の適用範囲を大幅に拡大し、表面の平滑性が向上している。
▲100周年を迎えた近畿車輌では、エポックとなった各時代の製品の美麗な側面イラストのパネルが来場者を迎えてくれた。
▲JR西日本の関連会社であるJR西日本テクノスでは、「WEST EXPRESS 銀河」などの改造施工実例をアピール。
▲メトロ車両では、東京メトロ03系から北陸鉄道や長野電鉄への譲渡車の実例を紹介。会場では精密すぎるほどの北陸鉄道03系の16番モデルが往復走行を披露していた。
▲除雪車だけでなく、阿佐海岸鉄道での営業運転が近いDMVの製造メーカーでもあるNICHIJO。パネルを見ると、「あ、あの変わった車両はこのメーカーのものだったのか!」という発見がある。
●車両部品メーカー
ひとつの鉄道車両も、部品ごとに細かく見れば様々な専門メーカーが参加してできあがっていくものだ。普段目にしている時、部品単位で「○○社製」などと意識することはないと思うが、実はメーカーごとにテクノロジーやデザインに差異があり、知れば知るほど興味深い分野とも言える。
▲コイト電工が出展したシートの中には、近鉄「ひのとり」プレミアムカーのものまで。
●線路・保線関係
当イベントで出展者層が厚いと感じるのが、線路の製造や保守関係のブースだ。分岐器のクロッシング部分の一体鋳造技術を持つ会社や、巡回用のモーターカーや軌陸車のメーカー、線路にクラックが入った時の溶接補修を実演するメーカーなど、工夫を凝らした展示が見ものであった。
▲峰製作所が屋外で実演するTHR溶接。クラックの入ったレールの修復技術で、写真はテルミット溶接で溶けた金属が流れ出た瞬間。
●その他
ホットな技術分野なのが、車両に搭載する検測技術に関する部分であった。営業車に搭載して常時での状態監視を行うメカおよびシステムを出展していた会社が複数あったほか、JR西日本のDEC741の屋上に50個ほども搭載されていたカメラ本体そのものの展示など、「へえ、これが!」という驚きを感じ、また説明員の方からの説明に目からウロコであった。
▲日本信号で展示されていたカメラと照明装置は、JR西日本のDEC741に搭載されているものそのものだ。照明は近赤外線によるもののため、肉眼ではその光は見えない。
●イベント開催要項
・開催日時:2021年11月24日(水)~26日(金) 10:00~17:00
・会場:幕張メッセ 5・6・7・8ホール
・主催:産経新聞社 オーガナイザー:CNT
・入場料:1名 2,000円 ただしインターネットでの事前登録により無料
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