2024年度の街開きを目指して再開発工事が進む高輪ゲートウェイ駅周辺エリアにて、2019年に発見された「高輪築堤」。
▲4街区の信号機土台部。 P:羽山 健(一般向け見学会にて撮影)
この築堤は1872年に日本初の鉄道が開業した際に、諸般の事情によって陸地に線路を敷くことが出来ず、海に盛り土をする形で設けられたもの。考古学・鉄道史などの有識者で構成された高輪築堤調査・保存等検討委員会により、下記の通り調査・保存方針が取りまとめられた。
まず、築堤の文化財的価値については、下記のような内容での評価となった。
・日本の近代化土木遺産を象徴する遺跡として、重要な位置を占めている。
・橋梁部(3街区)は、明治時代の錦絵に描かれた当時の風景をそのまま残しており、西洋と日本の技術を融合して造られたものと捉えることができる。
・信号機土台部(4街区)を含む前後の築堤は、鉄道らしい景観を呈している。
それらを踏まえ、各部の保存・公開についても下記のように発表されている。
●現地保存・公開
・橋梁部:橋梁部を含む約 80メートル(3街区)について現地保存を行い、建設当時の風景をそのまま感じられるように公開。
・公園隣接部:公園隣接部の約40メートル(2街区)について、文化の発信拠点である文化創造施設と一体的に公開。
●移築保存
信号機土台部を含む約30メートル(4街区)を移築保存する。移築先は高輪ゲートウェイ駅前の国道15号沿いの広場を基本に検討および関係者で調整。
また、今回の調査・保存方針の決定により、都市計画の一部に変更が必要となるとのこと。