JR東海は特急「ひだ」「南紀」に使用している85系気動車の後継車として次期特急車両「HC85系」を投入し、量産車の新製を決定したと発表した。「HC85系」は国内初のハイブリッド方式で最高速度120km/hを目指す次期特急車両で、これまで試験走行車を使い約1年間にわたって試験走行を行ってきた。試験走行車(4両)については量産車仕様に改造し営業運転に使用する。詳細は以下の通り。
▲JR東海HC85系試作編成
’21.1.6 紀勢本線 阿曽~伊勢柏崎 P:下村 諒
(今日の一枚より)
■主な車両の特徴
(JR東海プレスリリースより)
●ハイブリッドシステム
・気動車特有の回転部品が不要になり安全性が向上
・エンジン数の削減やアイドリングストップを実施することに、静粛性や乗り心地が向上
・気動車特有のギアチェンジが解消され、乗り心地が向上
・蓄電池の電力を加速・停車時に使用したり、燃費の良いエンジン回転数を使い分ける制御を行い燃費向上を実現
・燃費向上からCO2、NOxの排出量を低減
●車内サービス
・新規開発の防振構造を導入し車内に伝わる振動と騒音を低減
(JR東海プレスリリースより)
・細かく調整できる軸バネを使った台車構造を採用し振動の低減を図る。
(JR東海プレスリリースより)
・グリーン車にはセミアクティブダンパを搭載
・全車両で無料Wi-Fiサービスを提供し、全席にコンセントを装備
(JR東海プレスリリースより)
・全車両に収納スペースを増やした、荷物スペースを設置
(JR東海プレスリリースより)
・カラーユニバーサルデザインに対応したフルカラー液晶ディスプレイを設置
●車両性能
・一体成型により重要溶接部を約6割削減(313系電車比)した新型台車枠を使用
・車両各機器の動作状況等をリアルタイムで車両基地等へ送信したり、振動状態を常時監視する状態監視機能を強化
・踏切で障害物と衝突して脱線した場合においても列車の逸脱を抑制する踏切用逸脱防止ストッパを設置
・自動列車停止装置等の主要機器を二重系統化
・鹿等の衝撃対策のため、鹿衝撃緩和装置設置やエンジン等の重要機器の保護の強化を実施
・車内防犯カメラの設置
■投入計画
・2022年度から2023年度にかけて64両を新製し順次営業運転を開始
・試験走行車(4両)は量産車仕様に改造し営業運転を行う
■工事費
約310億円(車両製作費、試験走行車改造費、付帯工事費含む)