西日本鉄道株式会社では、2017(平成29)年3月より天神大牟田線に新型車輌「9000形」を導入することを発表した。西鉄電車における車輌のモデルチェンジは、2006(平成18)年3月の天神大牟田線3000形以来11年ぶりとなる。
▼車輌外観(イメージ) 画像提供:西日本鉄道株式会社
9000形は、既存の3000形車輌をベースに、安全性やサービスの向上および環境にやさしい省エネルギー化を図った通勤型車輌。側出入口は片側3扉、座席は全てロングシートとし、現在の主力車輌である5000形車輌との代替を計画している。
外観デザインの特徴として、車体側面にロイヤルレッドの帯を配置することで、歴代の車輌でも多く使用されている「赤帯」のDNAを継承しつつ、先頭部では貫通扉をカラーリングの基軸として縦のラインを強調することで、前に進む力強さと次世代車輌としての新しさを表現している。また、車内は白を基調とした明るく清潔感のある色調とし、各部にガラスを積極的に採用することで、見通しの良い開放的な車内環境としている。
車内の安全設備については、ロングシート中間部へスタンションポール(縦手すり)を増設するほか、分かりやすく一般部と識別化した優先スペースの全車輌への設置や扉開閉動作ランプの新設など、バリアフリー機能も拡充されている。
利用者への案内機能向上のため、乗降口上部に4ヶ国語表記(日・英・中・韓)に対応した車内案内表示器を2画面ずつ設置するほか、車外行先表示器にフルカラーLED表示器を採用し、行先や種別の視認性向上を図っている。
また、環境負荷低減のため、主要な電気機器に次世代半導体素子を使用したインバータを採用したほか、全ての照明装置をLED化することなどにより、既存車輌よりさらなる省エネルギー化を図っている。
新型車輌9000形は、2017(平成29)年3月に10輌、2017(平成29)年度までに計18輌を導入する予定。
▼車内装備(イメージ) 画像提供:西日本鉄道株式会社
【車輌形式】
9000形
【運行開始時期】
2017(平成29)年3月予定
【導入車輌数】
平成28年度に3輌固定編成を2編成(6輌)と2輌固定編成を2編成(4輌)、平成29年度に3輌固定編成を2編成(6輌)と2輌固定編成1編成(2輌)のあわせて計7編成18輌。
【運行路線】
天神大牟田線全線
【運用方法】
主として急行・普通電車で運用
【制作会社】
川崎重工業株式会社
【車輌の特徴】
≪デザイン≫
・先頭部は貫通扉をカラーリングの基軸として縦のラインを強調することで、前に進む力強さと次世代車輌としての新しさを表現。
・歴代の車輌でも多く使用されている赤帯をモチーフに、ロイヤルレッドの帯を車体側面に配置し、落ち着きのある外装としている。
・新しい西鉄の通勤電車として、座席横の仕切り部、連結部分の扉にガラスを採用し、床敷物に大きな柄をつけることで、既存車輌とは異なる車内イメージとしている。
≪安全対策≫
・乗客同士の衝突を防止するために大型袖仕切りを採用したほか、スタンションポール(縦手すり)の増設をし、安全性を向上させている。
・各車輌に床・吊革の色を変更して識別化した優先スペース(車イス、ベビーカースペース)を設置し、扉開閉動作ランプを設置するなどバリアフリー設備の拡充を行っている。
・ホームから線路への転落防止のため車輌連結部に転落防止幌を設置し、幌が設置できない先頭車同士の連結部では音声による注意喚起放送を行う。
≪快適設備≫
・車内各扉上部に液晶画面を2画面設置し、4ヶ国語(日・英・中・韓)による多彩な案内や車内広告の表示など、より細やかな情報を提供する。
・車輌前面および側面の車外行先表示器にフルカラーLED表示器を採用し、行先や種別の視認性向上を図る。
・窓ガラスにUVカットガラスを採用。
・より快適に座れるように1人あたりの座席占有幅を既存車よりも拡幅。
≪環境対策≫
・主要な電気機器(車輌制御装置、補助電源装置)に次世代半導体素子「SiC」を適用したインバータを採用し、前照灯・尾灯・車内照明などすべての照明装置を LED化することで、既存5000形と比較し約50%の省エネルギー化を図っている。
・車体材質に3000形と同様のステンレスを採用し、軽量化による消費電力削減および、塗装作業の削減による環境負荷の低減を図っている。