JR東海では、平成26年度も鉄道事業における安全・安定輸送の確保を最優先に、東海道新幹線の脱線・逸脱防止対策をはじめとする地震対策、土木構造物の大規模改修工事、N700Aの投入及びN700系の改造工事、武豊線の電化工事、気動車の取替等を着実に推進する。
また、超電導リニアによる中央新幹線計画については、環境影響評価書の公告、工事実施計画の認可申請を行うとともに、工事計画を着実に進める。
あわせて、名古屋駅におけるJRゲートタワー計画、また海外における高速鉄道及び超電導リニアプロジェクトへの取組みなどを着実に推進する。
こうした各種課題を着実に進めるため、引き続き、収益力の強化と技術レベルの不断の向上に取り組むとともに、設備投資を含めた業務執行全般にわたり知恵を絞り効率化と低コスト化を徹底し、経営体力の充実を図る。
【重点施策】
◆安全・安定輸送の確保
・新幹線の大規模改修工事の実施。当初3年間で930億円(平成26年度は350億円)。
・新幹線の脱線、逸脱防止対策。脱線防止ガード約80km(平成26年度)設置。
・浜松工場の建替。平成29年3月、新ラインによる全般検査開始予定。
・名古屋工場の耐震化。平成34年3月、工事完了予定。
・駅舎耐震化。吉原駅(平成26年度完了予定)、清洲駅(平成27年度完了予定)。
◆東海道新幹線における輸送サービスの充実
・「のぞみ10本ダイヤ」により、弾力的な列車設定に取り組む。
・新大阪駅引上線や27番線ホームを有効活用し、ダイヤの安定性向上を図る。
・平成27年春に予定している最高速度285km/hへの速度向上実施に向けて準備を進める。
・N700Aを31編成投入(平成24年度6編成、平成25年度7編成、平成26年度6編成、平成27年度6編成、平成28年度6編成)。
・新型可動柵を設置。東京駅18、19番線(平成27年3月末までに順次使用開始予定)、名古屋駅15~17番線、京都駅11~14番線(平成28年3月末までに順次使用開始予定)。
◆在来線における輸送サービスの充実
・武豊線の電化開業時期について、平成27年春を予定。
・電車の新製。313系電車を28輌新製(平成26年度)、武豊線に投入。
・気動車の新製。キハ25形気動車52輌を新製(平成26年度は高山本線と太多線に16輌、平成27年度は紀勢本線と参宮線に36輌を順次投入)。
・エレベーター、多機能トイレの設置。エレベーター6駅11基、多機能トイレ4駅(平成26年度)。※うち橋上駅舎化(エレベーター2駅3基、多機能トイレ1駅)
・内方線付き点状ブロックへの取替。8駅(平成26年度)。
◆超電導リニアによる中央新幹線計画の推進
・中央新幹線(東京都~名古屋市間)の環境影響評価の進捗について
平成25年9月20日 環境影響評価準備書を公告
平成25年11月25日 準備書に対する意見の概要、事業者の見解を送付
平成26年3月20日~25日 沿線7都県から準備書に対する知事意見を受取り
◆超電導リニア技術のブラッシュアップ及びコストダウン
・山梨リニア実験線について、平成25年8月29日に新設備による走行試験再開。
・営業線使用の車輌、設備により、最長12輌編成での長距離走行試験の実施と、車輌や地上設備の営業運転に対応した保守体系の確立に向けた確認試験を行う。
・L0(エルゼロ)系を14輌製作(現在7輌編成で走行試験を実施)。平成26年度末までに全14輌投入完了予定。
・「超電導リニア体験乗車」を本年度内に実施する。
◆営業施策の強化
・「エクスプレス予約」および「プラスEX」サービス拡大の取組み強化、高山本線全線開通80周年企画の実施など。
◆技術力の強化、海外プロジェクトへの取組み、地球環境保全
・「Crash Avoidance(衝突回避)」の原則に基づく日本型高速鉄道システムを国際的な標準とする取組みを推進する。
※「Crash Avoidance」の原則 平面交差のない高速旅客鉄道専用の軌道と、速度を制御し、絶対に衝突を防ぐATCシステムの2つの仕組みによって、衝突の可能性を排除。
◆関連事業の着実な推進
・JRゲートタワーについて、平成28年11月オフィス入居開始予定。平成29年4月タカシマヤ、ホテル開業予定(延べ面積 約26万平方m、高さ 約220m、階数 地上46階)。
◆東海道新幹線開業50周年企画の実施
・東海道新幹線開業50周年記念高速鉄道国際会議(仮称)を平成26年10月に開催予定。
【設備投資額】
連結:3,260億円、単体:3,010億円(うち安全関連投資1,880億円)