本四連絡の要衝として賑わったのも今は昔、すっかり盲腸線の終着駅となった宇野線宇野駅。この駅のすぐ近くに跳開橋があるのを知ったのは、つい最近のことだ。
宇野で可動橋というとフェリーの桟橋の間違いだろう、と思われるかも知れないが、駅東側にある水路にかかる「櫻橋」がそれで、地図や航空写真で見ると、なるほどこれは、と思うシルエットになっている。水路は港から北側に延びているが、船が入れると思われるのは橋から数百メートル程度で、その先は用水路と言う方が相応しい太さになる。
四国への道すがら現地を訪れると、水路の奥には穀物のサイロがあり、大きな艀が荷役作業の真っ最中で、ひょっとしてもう少し早く来ていれば橋が開くところが見られたかな、と思ったが、まるで転車台のそれのような小さな操作室に人影はなく、尋ねる相手はいなかった。
遮断機は手動で警報機や信号の類は見当たらないが、警報音はなるのだろうか。桁の銘板には1977年三井造船と書かれていたから、地元で製作されたものだろう。
駅の近くで買ったタコ飯のおにぎりを食べながらしばらく待ってみたが、動きはないまま時間切れになり、宇高国道フェリーに乗船した。 （つづく）
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