←その11 その13→富山地方鉄道本線の電鉄黒部駅から生地行きのバスで約10分、生地大町を過ぎると、バスはやがて小さな橋を渡る。これが道路橋として北陸唯一の可動橋である生地中橋(いくじなかはし)である。これは富山湾から黒部漁港に入る水路にかかるもので、くろべ漁協のホームページによると、昇開橋だった3代目(昭和34~35年架橋)に代わって架橋された四代目。親柱には昭和57年3月完成とあった。(以下小さい写真は拡大可)海側から見た生地中橋。右側が南側で、茶色い建物が操作室。一見、ただのガーダー橋のようだが、実は片持ち式の旋回橋である。旋回橋自体は天橋立の小天橋など日本でも数箇所にあるが、片持ち式は日本唯一の存在のようだ。橋の周辺は生地の市街地で、見通しがあまりよくないためか、南北とも少し離れた位置に橋の作動を示す表示灯が建っている。開閉時刻を表した案内板。ここに書いてある通り、時刻になっても漁港への船の出入りがない限りは動かない。また、船が来ても、無線アンテナなどを畳んで通過できる大きさなら、やはり橋は動かない。親柱の銘。「いくぢ」ではなく「いくじ」である。支点は南側。陸地との接点が緩い弧を描いているのは旋回橋ならでは。一方、北側の接点はギザギザ。これでは旋回できないのでは? と思ったら…。動く際には、まず北側がこのように一旦持ち上がる。さらに東側に向かって旋回する。道路は遮断器と信号機(通行止め時は上下赤2灯)で遮断。警報音などはない。そして船が通過。南側の陸地部分に橋桁を完全に格納するようなスペースがあるが、実際には船の大きさに合わせた角度で開閉するようだ。少し大きな船がきた。今度はかなり大きく開いた。やはり土休日は漁船の出入りが少ないのか、土曜に行ったところ空振りに終わり、平日早朝に再訪して開閉シーンを見ることができた。現地へは北陸本線の生地駅からだと徒歩20~30分強かかる。冒頭のバスは生地駅には行かないので注意が必要だ。(つづく)→バックナンバー