← →10月31日限りで廃止された北陸鉄道石川線加賀一の宮駅。この駅には何度か訪れているはずなのですが、なぜか旅程の記憶があやふやで、久しぶりにネガファイルを繰ってみると、最後に行ったのはもう20年近く前のことでした。編集長敬白をはじめ、あちこちで最後の姿が紹介されていますので、ここではふた昔前、まだ吊り掛け電車の時代の加賀一の宮駅をご紹介します。あまり綺麗な写りではありませんが、少しばかりお付き合いください(特記以外は1989年6月撮影です)。野町方から見た構内 金名線廃止から2年後。交換設備は野町方の分岐が撤去され、終端方からスイッチバックして入る形の側線になっていました。手前には最近の写真にはない貨物ホームの跡が見えますが、いつ頃まで使われたものなのでしょうか。停車中の電車はモハ3761。旧型車ながら車体更新によりユニットサッシ、ノーシルノーヘッダ、方向幕付きながら屋根は張り上げないという少しアンバランスにも思える姿になってました。能美線ゆかりの車輌ということで、運よく現在も旧能美線沿線に保存されているそうです。有名な駅舎 中は清潔な印象を受けましたが、この時は無人化して間もなくだったのか、待合室の「自動券売機」と書かれたプラスチックのプレートの下、つまり券売機があるべき部分が真新しいベニア板で塞がれていたのが印象的でした。自動販売機のジュースがペットボトルに変わり、電話ボックスが新型のものに更新された以外は、最後まで変わらない佇まいだったようです。右端に件の貨物上屋が見えますが、残念ながらちゃんと撮影していません。時刻表 ピンク印は準急。つまり昼間はほとんどの列車が準急でしたから、昼間は列車が止まらない駅が存在しました。発車と到着の間は新西金沢接続の北陸本線と、鶴来接続寺井方面のバス。北陸本線にはまだ、西金沢から米原直通の普通列車がありました。バスは能美線代替バスと思いますが、そのバスも現在はありません。20年間という時の流れを感じますが、右側の、小堀酒造の広告だけは最後まで残っていたようです。停車中のモハ3731 上のモハ3761のように方向幕が付いた車輌もいた石川線ですが、この電車は行先・種別とも味のある方向板を付けていました。このアングルで見ると車輌と右の側線以外は変わっていないように思います。屋根から吊り下がった「出口」の看板も最後まであったようです。 (つづく)