text & photo:佐久間旺輔
香港の街並みを見て、特徴的な二階建ての路面電車が記憶に残った方というのは少なくないだろう。この香港トラムは1904年の開通以来、世界唯一の二階建て路面電車として、人々の生活の足となっている。また香港で最初に開通した電化路線もこの香港トラムで、地下鉄香港島線開通以降も、地下鉄では補えない短距離移動や、競馬場への重要な足として今もなお混雑する重要な路線だ。

第5世代車両(120号車)
この路線の料金は3.3HKD(約70円ほど)の一律運賃と、昨今の物価高を考慮しても非常に財布に優しい移動手段である。香港トラムの路線総延長は15kmで、ケネディタウンと筲箕湾を結ぶ本線に加え競馬場方面へ向かう視線で構成されている。期間はカーブの多さと香港島の勾配を考慮して日本と同じ1,067mm、電化方式は日本の一般的な路面電車より少し低めの550Vだ。

跑馬地線の分岐点と第6世代車両。
香港トラムで活躍している車両は1949年から1964年までに製造された非冷房の第5世代車両が多数を占めておりその内1編成を除いて全てが80年代後半に車体更新を受けている、これらの車両は第6世代とされている。更新の際に足回りは製造当初の吊りかけ駆動のまま残された。また2000年に外観を一新した車両が製造されたが全面窓が固定式となったため製造は打ち切り。2009年より初めてVVVFインバーターを採用した車両が導入された。現在冷房装置は電気容量の都合上10両にのみ設置されている。

貴重な「貸切専用車」。
P:髙木伸太郎(メトロP)
MTR港島線が1985年に開通した香港トラムと競合関係にあるが、依然として主に近距離の移動で大活躍しており、またその特徴的な二階建て車両の外観は多くの観光客を目をひきつけている。香港では香港トラム以外にも屯門においての地域輸送で軽鉄というライトレールが運行されており、地下鉄と並行して遠近分離を図っている。日本においては都電や京都市電は地下鉄やバスによって置き換えられたが、路面電車が地域の足と同時に観光需要を生み出している香港では今後も末長く活躍することが見込めるだろう。香港へ旅行に行った際には、地下鉄のみならず趣あふれる地域の足である香港トラムを体験してみてはいかがだろうか。

