取材日:‘22.1.8
text&photo(特記以外):福島 鷺栖
■2000年代まで「突放」が行われていた岳南鉄道
岳南鉄道と聞いてピンとくる人は、レイルファンの中でもとりわけ貨物ファンが多いのではないでしょうか。東海道本線の吉原駅を起点に岳南江尾駅までわずか9kmほどの路線ですが、2012年と比較的近年まで貨物輸送が行われ、さらに国鉄を代表する2軸貨車のワム80000形が末期まで乗り入れた光景は今なお貨物ファンの間で語り継がれています。
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貨物輸送終了後の2013年に「岳南電車株式会社」と社名が変わっていますが、貨物輸送を行っていた時代の保存車等の解説については、あえて当時の社名である「岳南鉄道」と表記していきたいと思います。

2010年のイベント時に運行された重連牽引の貨物列車。青ワムが連なる姿は当時でも貴重だった。
‘10.12.18 岳南鉄道 吉原~ジヤトコ前 P:菊池 遼
(鉄道投稿情報局より)
■かつての貨物取り扱い駅を訪ねて
岳南鉄道の貨物輸送は、主に比奈駅を中心に近隣の工場へ貨物を運んでいました。その比奈駅にまずは行ってみたいと思います。

こぢんまりとした駅舎ながらも味のある駅舎。
駅構内はすでに入換を行っていたヤードなどはなくなっているものの、ホームと駅舎の空間にそれがあったことを物語っています。かつては、ここから隣接する日本製紙の工場と貨車を入換、組成なども行っていました。

ヤードの跡地。当時はここにヤードが枝分かれする形で設けられていた。
ヤードは2010年ごろの航空写真を見ると、構内には枝分かれしたヤードが2線ずつ枝分かれする形で設けられており、本線の横に工場への引込線が設けられており、工場からの貨車はその引き込み線を使って引き出され、駅東側のヤードや駅構内のヤードを用いて組成を行っていたようです。
なお、組成時には突放と呼ばれる貨車のみを押し出して走行させ添乗している係員が足ブレーキで速度を調整する入換方法も見られました。

比奈駅を中心とした2010年ごろの航空写真。出典:国土地理院撮影の空中写真(2010年撮影)

当時は長い構内踏切も設けられた広い構内を有していた。
‘08.12.26 岳南鉄道 比奈 P:鈴木龍一
(今日の一枚より)
また、比奈駅には、駅舎内に模型店「フジドリームスタジオ501」が営業しており、店内には岳南鉄道のレイアウトが展開されています。訪れた際はこちらもおすすめです。
■一駅隣には機関車が保存!
比奈駅からわずか一駅。歩くことも出来る距離に岳南富士岡駅があります。この駅は岳南電車の車庫も併設されている他、ホーム横の留置線には岳南鉄道の貨物輸送を支えた往年の機関車が4両も保存されています。

留置線に展示されており、間近で観察することが出来る。
この機関車4両は、岳南鉄道の貨物輸送廃止時に保管していたものが全てここに集結しており、凛々しいパンタが上がった状態で展示されています。機関車の経歴もそれぞれ非常に興味深いものとなっており、ED501とED291はいずれも戦前製、ED40形はかつて松本電気鉄道(現アルピコ交通)のダム建設輸送時に導入され、ダム輸送終了後に岳南鉄道に全車移籍してきた経歴を持ちます。
それぞれの機関車のディティールなどもじっくり観察できる機関車ファン必見のスポットとなっていますので、こちらも訪れた際はぜひ押さえておきたいスポットの一つです。

