185系

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中央西線特急「しなの」、振り子式電車の三代目・385系量産先行車をお披露目…!

2026.05.16NEW

text & photo:RM
取材日:’26.5.12 場所:神領車両区
取材協力:東海旅客鉄道

 長い歴史を誇る中央西線の特急「しなの」は、1973年の電車化時に、当時国鉄最新鋭の381系電車が投入されました。これは我が国初の振り子式車両による営業運転で、その後全国に広がった振り子式車両のパイオニア的存在となったのです。その後JR化を経て二代目車両の383系が投入。「ワイドビュー」を謳ったステンレス車体に制御式振り子装置の採用といった新機軸をもって大いに魅力をアップ。登場から30年以上を経てもなお魅力は色あせていないと言っても過言ではないでしょう。

 とはいえ新陳代謝は鉄道車両の宿命。JR東海では三代目の振り子式車両として385系を開発。この度量産先行車が完成し、報道陣にお披露目されました。

▲シャープな先頭部形状が非常にスタイリッシュな385系8両編成。

鮮やかな車内の様子などをもっと写真でご覧に入れます!

 量産先行車は8両1編成で、両側先頭車がパノラマ先頭形状となっています。車体はステンレス製で、最新のレーザー溶接技術により継ぎ目のほとんど見えないスムーズな車体を実現しました。全体的なデザインコンセプトは、信濃・木曽・美濃地区の「豊かな自然と文化の調和」とされており、エクステリアでは「アルプスを翔ける爽風」をテーマに、アルプスの山並みを颯爽と駆け抜けていく風をイメージ。強い傾斜を描く先頭部、逆スラント状に絞り込まれた下部に灯火類が配され、シャープな印象となっています。この先頭部は窓廻りをブラックアウトした他はオールホワイトとなっており、高級感が演出されているようです。

 インテリアでは木曽地域にゆかりのある「木曽五木」をイメージした内装、北アルプスの朝焼けやリンドウ(長野県花)を表現したグリーン車座席、岐阜県の伝統工芸品である美濃焼の装飾など、走行エリア沿線の自然や文化を表現したデザインとなっています。最も話題性があるのはグリーン車の座席が1+2の3列配置となっていることで、旅行人数に合わせた快適な居住性が得られるだけでなく、「振り子式車両に左右重量バランスがずれるインテリアを敢えて設定」したことも注目です。

▲1+2の3列シートとなっているグリーン車車内。

 このグリーン車の座席は、リクライニング時に後席の乗客に配慮しなくても済むよう、バックシェルを持つタイプをJR東海在来線用車両として初採用。電動レッグレストに大型インアームテーブルも採用され、優雅で快適な旅が楽しめるようになっています。

▲自然の心地よさをテーマにデザインされた普通車の車内。

 普通車のシートは前述の通り木曽の森林をイメージしたグリーンのモケットを持ちます。また全席にコンセントが配置され、荷棚も大幅に容量をアップ。海外からの旅行客も含め、快適に過ごせる空間となっています。

 振り子特急のパイオニアとして、走り装置にも触れないわけにはいきません。「次世代振子制御技術」が搭載され、更なる乗り心地の向上が図られています。これはジャイロセンサにより車両と曲線の位置関係を常時監視し、曲線開始位置と終端位置を正確に検知する、というのが基本的な考えで、これにプラスして高応答性振子アクチュエータにより、曲線の位置・曲率・通過速度等に対して滑らかな車体傾斜を可能としたもの。ジャイロセンサは各車に2台搭載され、高い信頼性が確保されています。また、383系で実績のある自己操舵機構を持つ台車もより性能を高めて採用されているとのことです。なお、速度性能については本則+最大35km/hという日本最速レベルで、これ自体は383系と変わりありません。

 もう1点、ユニークな新機軸があります。実は従来の国内の振り子車両は、通常車両よりも車体が長め(21m級)となっているのが特徴でした。低重心化を図るために床下に機器を集中させているのがその理由なのですが、385系では機器の集約化などにより20m級車体が実現しています。これにより、一般型車両の315系とドア位置を合わせることが可能となり、開口部の狭いホームドアを採用することが可能となります。まさに今後の30年を見据えた新機軸と言えるでしょう。

 385系量産先行車はこの1編成をもって次世代振子制御装置の走行試験が行なわれる予定で、量産車の運行開始予定は2029年度と発表されています。

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(画像提供:JR東海)

 

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