text & photo:RM
取材日:’25.12.23 場所:高松運転所
取材協力:四国旅客鉄道
国鉄時代末期までの四国の鉄道と言えば、私鉄を除いて電化区間は皆無、その反面、蒸気機関車の引退=無煙化は比較的早く、旅客列車としては気動車の比率が全国的に見ても非常に高い「気動車王国」でした。今でも電化区間は予讃線・土讃線の一部などに限られ、それ以外の路線では特急からローカルまで気動車が活躍しており、「王国」の名残を留めていると言えましょう。
中でもローカル用としては1000形や1500形といったJR化以降に開発された新形式も多く、今や国鉄型としてはキハ40系(40形・47形)が合わせて20両足らず、そして国鉄末期に投入されたキハ54形(12両)とキハ32形(運用中なのは約10両)を合わせても既に少数派となっており、一定の新陳代謝は図られている感がありましたが、いよいよその国鉄型を完全に置き換える形式として、新機軸を盛り込んだハイブリッド方式の3600系が投入されることになったのです。

顔つきは少し1500形のイメージを踏襲している感がありますが、カラーリングは新鮮なものとなっています。
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2025年年の瀬も押し迫った12月に、量産先行車2連×2本の4両が完成した3600系。同社初のハイブリッド方式としたことに伴い、大きな特徴として下記の4点が挙げられています。
- 安全性・信頼性の更なる向上
複雑な構造の機械部品・回転部品がなくなることにより、安全性・信頼性が向上するとされています。 - 快適性の向上
駅停車時のアイドリングストップによる静粛性向上や、気動車特有のギヤチェンジに伴う揺れをなくすことで乗り心地が向上します。 - 環境負荷の低減
蓄電池に貯めた電力をモーターや駅停車時のサービス機器に使用することで燃費が向上します。 - メンテナンス性の向上
電車と同じシステムと機器を使用することで、メンテナンス時の作業及びコスト低減が図られます。
編成は片運転台車の2両固定編成で、Mc1(3650形)+Mc2(3600形)とされています。走行系統の機器は2両それぞれに専用のディーゼルエンジン、発電機、主変換装置等を備えており、各車運転台側台車の2軸を駆動。エンジンはSA6D140HE-3形を各車1基搭載、出力は450psです。液体式のキハ40系と単純な比較はできませんが、数値だけで言うと倍以上の出力となっています。
■車内は2両でかなり異なります
走行系統機器は2両でほぼ共通ですが、車内はこの2両で作り分けがなされているのがユニークなところ。3650形Mc1はオールロングシートで、その代わりに車いす対応のトイレと車いすスペースを連結面側に装備。3600形Mc2はトイレ・車いすスペースがなく、その代わりに4人掛けボックス席が3組設置された、一種のセミクロスシートとなっています。また、床下に収まりきらなかった機器を収める機器室が両車とも車内にあり、およそロングシート5脚分がデッドスペースとなっているのも興味深いところ。外観上もこの部分に窓がないことでその存在がわかります。

▲量産先行車としてスペシャルラッピングされ、水玉模様にロゴタイプが描かれています。床下の大きな箱は主変換装置。
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3600系量産先行車は、2026年1月から性能確認等の走行試験を行い、6月の営業運転を目指して教育・訓練等を実施します。投入線区は高松と徳島を結ぶ高徳線となる模様で、配置区所は徳島運転所。前述した国鉄型気動車の中でもキハ40系が現在所属している区所でもあり、真っ先に置き換え対象となります。「王国」の新時代とその過渡期をしっかりと目に焼き付けていきたい、今後の数年間となるでしょう。




