text:瀧口宜慎(RML)
photo:RM
昨年3月の北陸新幹線敦賀延伸開業によって大幅に変化した北陸特急とその車両たち。特に特急街道と言われたこのルートは、JR西日本管内でも有数の特急列車が重点的に導入されていた線区で、ほぼ30分おきに大阪や名古屋方面と金沢を結ぶ特急が運行されていました。ですが2015年の北陸新幹線の金沢延伸、そして昨年の敦賀延伸時と、新幹線が伸びるたびに在来線特急の方は大幅な運行体系の変更が行われ、その渦中にあった車両が681・683系でした。それまでは両系式合わせて370両もの車両が北陸の優等列車を支えていました。
ここではその681・683系の中でも最初に登場した先行試作車である681系の登場時の姿を「Rail Magazine」の過去のアルバムから見て行きたいと思います。
■外観

1992年の7月に登場した、681系先行試作車。塗色が量産車と異なり、側面窓廻りのグレーの帯が無く、窓下の帯は青帯とグレーの帯とでセパレートされたようにデザインされ、青色は車両端部に寄せられていた。

中間車のサハ680-201。中間車での塗装も先頭車と同じく、青とグレーの帯となる。車体裾に泥はね除けのようなフィンがついているが、量産車ではこの半分くらいの天地寸法で、車体よりさらに奥側へ引っ込んでおりそれほど目立たないが、試作車ではかなり存在感を放っていた。

先頭グリーン車となるクロ681-1。先行試作車のクロ681の特徴として前面スカート廻りにボルト穴が開いているのが特徴で、運転台側面窓も量産車が台形状なのに対し、3辺からなる三角形の形状をしている。
■内装

サハ680-201についていたプチ・カフェテリア。飲料水のほか軽食を扱う予定で、量産車にも設置されたが、2000年を境に営業を終了し後に車掌室に変更された。

普通席はその後の、サーモンピンク/グレーブルーといった色使いと異なりブラウンとグレーの中間的な色使いだった。

グリーン車座席も量産車のブラウン系と異なってブルー系のモケットだった。
さて、681系の先行試作車は量産車には組み込まれていた貫通前面の先頭車が存在せず、編成構成そのものも量産車とは多く異なっていました。681系自体、北陸特急の485系の置き換えのみならず、その後ほくほく線にて行われた160km/h運転なども見据えられており、在来線特急のスピードアップを目指す試作車として登場したのでした。
先行試作車は1995年に量産車が登場と同時に量産化改造を受け、さらには2015年には「しらさぎ」塗装にもなり、その後再び「サンダーバード」の量産車塗装となりましたが、2017年にクロ681を残して本編成の5両が解体。クロ681も2022年に解体されたのでした。
JR西日本にとって最初に開発した特急電車でありましたが、試作車は、その功績に対する一方で、特殊な車両である点も多く、他の量産車より一足早い引退となってしまいました。
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JR西日本の特急型電車の礎
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