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特集・コラム

かつて東京を走った電車に会える場所 100年以上の歴史を持つ北陸鉄道は今年メモリアルイヤーに!

2025.08.23

text & photo(特記以外):鉄道ホビダス編集部

 鉄道車両は、だいたい20年〜30年程度は使用され、あらゆる工業製品の中でも割と寿命の長い方と言えるでしょう。中には都市部で活躍した車両が役目を終えた後、地方私鉄に譲渡され第二の人生を歩む車両も少なくありません。こうした場合、まるでタイムスリップをしたかのような懐かしい体験ができるのもまた魅力の一つです。今回は金沢を中心に浅野川線と石川線の2路線を運行する北陸鉄道にフィーチャーし、その魅力や見どころに迫っていきます。

■元日比谷線03系でゆく浅野川線の小旅行

蚊爪駅〜粟ヶ崎駅間のガーダー橋を渡る03系。

 浅野川線はJR金沢駅に直結している北鉄金沢駅から、内灘駅までを結ぶ全長6.8kmの路線です。住宅街を縫うように走り、海岸に近い内灘駅に近づくにつれ、徐々に海辺の街らしい雰囲気になっていきます。特に蚊爪駅〜粟ヶ崎駅間の大野川を渡る橋は同路線のハイライトでもあると言え、橋を渡る車両をスッキリ見ることができます(立ち位置は極端に狭いので自動車や歩行者の往来に注意)。
 そして終着駅となる内灘駅から徒歩15分〜20分ほどの位置には、内灘海岸と内灘砂丘があり、海沿いの観光地としての側面もあります。

北陸鉄道の03系には日比谷線時代の帯のままな編成も在籍(写真右)。

 現在、浅野川線の主力車両として活躍をしているのは03系電車です。この03系、元々は東京メトロ日比谷線を走っていた車両で、現在も日比谷線時代の「03系」の系式と車番のまま運行を続けています。
 日比谷線時代は8両編成であった車両ですが、当然浅野川線に入線する際には2両編成化が行われることに。その際先頭車には2基菱形パンタグラフが載り、スカートも新設され、こちらはスノープロウと一体型になった厳つい形状のものとなり、その無骨なスタイリングからレイル・ファンからの支持も多いです。

 実際乗車してみると、内装もワンマン設備の他は日比谷線時代の状態を色濃く残しているので、当時を知る者としては、この車両で北陸鉄道の車窓を見るのは少し不思議な感覚になります。ですがそんな感覚こそこうした地方私鉄の醍醐味の一つでしょう。

■独立した駅 野町から鶴来を結ぶ石川線

元東急7000系の北陸鉄道7000系。

‘25.05.14 北陸鉄道 石川線 小柳〜日御子 P:藤原正博
(今日の一枚より)

 金沢市内ではあるものの、他の鉄道路線とは接続しない野町駅を起点としている石川線。同路線はこの野町駅から鶴来駅までの13.8kmを結びます。使用される車両は元東急7000系の7000系と、元京王3000系の7700系の2種。新車両が導入された浅野川線とは対照的に、こちらは往年の古豪が今も活躍を続けています。

 路線は途中新西金沢駅でIRいしかわ鉄道の西金沢駅に連絡しています。金沢方面から列車で来る場合は、この駅で乗り換えて訪れるのが比較的楽かもしれません。
 しばらくこちらも住宅街を走り抜けていきますが、曽谷駅付近から徐々に田園風景が広がり始め、冬のシーズンであれば一面の銀世界も楽しむことができます。

北陸鉄道石川線の現在の終点、鶴来駅。

2009年まではこの加賀一の宮駅まで行っていた。加賀一の宮駅舎は現在休憩施設として活用されている。

‘19.7.26 (旧)加賀一の宮〔石川県白山市白山町地内〕 P:宮島昌之
(鉄道投稿情報局より)

 現在終着駅は鶴来駅となっていますが、実は2009年までは当駅より先、中鶴来駅を挟み、加賀一の宮駅という駅まで伸びていました。すでに廃止から15年以上が経過しているものの、2025年現在もまだ廃線跡や遺構が多く残されており、特にレトロな雰囲気が魅力の加賀一の宮駅舎は現在美しく再整備された上で休憩施設として利用されている上、国の登録有形文化財にも指定されています。

■今年は浅野川線開業100周年&石川線開業110周年のメモリアルイヤー

現在、浅野川線と石川線では周年を記念したヘッドマークも掲出されている。
(写真提供:アネック)

 そんな北陸鉄道の2路線ですが、今年は浅野川線は開業から100周年、石川線も開業から110周年のメモリアルイヤーを迎えました。そんな北陸鉄道では現在、周年記念のクラウドファンディングを実施中です。返礼品として周年記念DVD&ブルーレイ、周年記念乗車券、周年記念ツアー(洗車場乗車ツアー)などが用意されています。

周年に際して、北陸鉄道の応援プロジェクトクラウドファンディングを実施中。概要や返礼品の詳細などは下記リンクより。

 沿線から周年に向けてますます盛り上がりを見せる北陸鉄道。暑い日が続いていますが、ぜひ無理のない範囲でこの節目の年を楽しんでみてはいかがでしょうか。

北陸鉄道クラウドファンディングページ詳細はこちら!

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