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特集・コラム

さよなら、高崎の電機・DLたち…EL ・DL ぐんま0fin Curtain Call

2025.04.01

text & photo:RM
取材日:’25.3.29 場所:高崎駅留置線
取材協力:東日本旅客鉄道高崎支社

 ぐんま車両センター(旧・高崎車両センター高崎支所)にはイベント列車用として長年SL(蒸気機関車)、EL(電気機関車)、DL(ディーゼル機関車)が配置され活躍してきました。この中でもSLは営業用のイベント列車だけでの活躍となりますが、EL、DLはそのSL列車の補機(逆行時の本務機)、単体でのイベント列車、そして事業用の工事臨時列車や配給列車の牽引用として欠かせない存在で、ELとしてEF64、EF65、DLとしてDD51という国鉄時代に誕生した大型機が複数在籍していたのです。

 しかしJR東日本では車両の経年などを理由にこれら国鉄型の機関車に代えて事業用気動車のGV-E197系、同じく事業用交直流電車のE493系を登場させ、工事臨時列車用などとして本格的な運行を開始しています。つまりEL、DLにとっては大切な任務のひとつであった事業用途が失われた状況となり、SLとペアを組むイベント列車の運行がどうなるのか、注目を集めていました。

 そのような情勢の中、高崎支社では2024年秋季にはこれらEL・DLについて「ファイナルラン」と銘打ったカウントダウン形式でのさよなら運転を実施。11月24日にそのラスト「「DL・ELぐんま1fin」がEF65 501号機とDD51 842号機のプッシュプルによって運行され、これをもってEL・DLの営業運転は終了とアナウンスされました。その後の同地のEL・DLは有料での撮影会や体験イベントのほか、散発的に非営業用途としての運行に就いたりもしましたが、2025年3月29日、「EL・DL ぐんま感謝祭 ~EL ・DL ぐんま0fin Curtain Call ~」と銘打ったイベントにて3両が展示され、これをもって一般の目に触れる機会は終了と案内されたのです。

▲EF65 501号機

▲EF64 1001号機

▲DD51 842号機

 当日展示されたのはEF65 501、EF64 1001、DD51 842という、数々のスター的エピソードを持つ3両のEL、DLのほか、SLのC61 20,そしてEL、DLの跡を継ぐGV-E197という面々。GV-E197については既にSLとペアを組んだ試運転が行われていましたが、本イベント会場で正式にSL列車とペアを組んで運行されることが発表されました。

▲C61 20号機

▲GV-E197形。この後、C61が転線してGVと連結されるシーンが披露されました。

▲EF64とC61が顔を並べたシーン。

▲あいにくの雨天の下、名残の雨という風情でしたが多くのファンがお別れを告げることができたと思います。

 会場のオープン式典では樋口達夫・JR東日本高崎支社長や安藤震太郎・高崎観光協会理事長からのスピーチがあり、ぐんまエリアの観光誘致に大いに力を発揮してくれたEL・DLへの感謝の言葉が綴られ、そして跡を継ぐGV-E197が、SLと共に新しいぐんまの魅力を発信してくれることを願う旨、語られました。

▲左から2人目が高崎観光協会理事長、6人目がJR東日本高崎支社長。高崎駅長や鉄道少年団のメンバーと共に記念撮影。

 2025年の「SLぐんま」は、発表されている範囲では4月下旬に3日間、5月上旬に4日間、いずれも「SLレトロぐんま水上」として運行されると発表されています。なお、「GV-E197へのラッピングは行わないのですか」という質問については「今のところ行う予定はないです」、「機関車の保存の見通しについては?」という質問については「お答えできません」というコメントでした。

 さよなら運転の後は人知れず解体されることが多い鉄道車両。こうして広く一般のファンを集めた形で展示されるというイベントは珍しく、それだけ同地におけるEL・DLの存在感の高さが窺えます。粋な機会を提供してくれた高崎支社の皆さんに感謝、そして機関車たちにもありがとう、と伝えて会場を後にしました。