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54年間の歴史に幕 この春いよいよ消滅する「泉北高速鉄道」に行ってみた

2025.03.27NEW

取材日:‘25.3.9
text & photo(特記以外):福島 鷺栖

 関西でニュータウンといえば千里ニュータウンとともに、大阪で開発されたニュータウンとして有名なのが泉北ニュータウンです。千里と同じく丘陵地に造成され、ニュータウンと都心とのアクセス路線として「泉北高速鉄道」が大阪府都市開発株式会社によって開業しました。南海電鉄高野線と相互直通運転を行い、ニュータウンと大阪の中心地であるなんばを結ぶ重要な役割と担ってきた鉄道会社です。
 そんな泉北高速鉄道ですが、2025年4月1日に南海電鉄に合併され、新たに「南海泉北線」として生まれ変わります。そこで今回は、合併を目前に控えた泉北高速鉄道の終着駅、和泉中央駅に行ってきました。

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■泉北高速鉄道の終着駅「和泉中央」へ

 泉北高速鉄道は南海高野線の中百舌鳥(なかもず)駅と和泉中央(いずみちゅうおう)駅間を結んでいます。何回かにわけて延伸されており、和泉中央まで延伸されたのは1995年でした。90年代開業の駅ということもあって、駅は近代的な造りをしており、商業施設と駅を結ぶペデストリアンデッキが備えられている他、コンコースの天井も高く、開放感ある雰囲気になっています。

コンコースには「泉北高速鉄道株式会社」と書かれた広告が大きく掲示されている。

駅の東側に商業施設「エコールいずみ」へのペデストリアンデッキから見た和泉中央駅舎。

 和泉中央駅は1面2線の島式ホーム1本に加えて、終端部を折り返す形で入る留置線を2線備えた構造となっています。泉南方面への延伸も計画されており、現在も延伸可能な構造になっていますが、現在のところその具体的な開業の目処は立っていません。

和泉中央駅を南側から見てみると、駅直結の商業施設を備えた地域の拠点としての役割が見える。

■掲示物やロゴにも合併の足音が

 4月1日の合併を控えて車内や駅構内にも運賃変更などの告知が掲示されている他、3月に入ると泉北高速所属車の車両側面の「SEMBOKU」のロゴなども南海仕様に変更されつつあり、駅構内の掲示物も徐々に南海仕様に変更されています。
 車両の「SEMBOKU」ロゴに関しては、2025年3月時点ですでにほとんどの車両が「NANKAI」ロゴに変更されていた印象で、「SEMBOKU」ロゴを残したまま走る車両はごくわずかになっていました。

 また、泉北高速鉄道の会社消滅に際して、「ありがとう泉北高速鉄道」のヘッドマークを掲げた車両も運行されており、会社としてのフィナーレを飾っています。

「ありがとう泉北高速鉄道」のヘッドマークを掲げた9300系。なお側面のロゴはすでに南海のものに変更されている。

‘25.3.14 南海電気鉄道 高野線 浅香山 P:東條ともてつ

栂・美木多(とが・みきた)駅付近を走行する5000系。泉ヶ丘付近からは堀割区間を走行するため、いかにもニュータウン鉄道らしい風景を撮影できる。

 現在泉北高速鉄道線は南海への移行真っ只中に当たり、過渡期らしい泉北・南海双方の特徴を一つの路線で見られるのも、このわずかなタイミングだけでしょう。
 54年間に渡ってニュータウンと都心を結んできた泉北高速鉄道から南海泉北線への移行という歴史的なイベントをぜひ記録してみてはいかがでしょうか。