185系

特集・コラム

今週引退!JR初期を象徴するカラー 381系「スーパーやくも色」の軌跡

2024.04.03

text:鉄道ホビダス編集部

’24.03.23 伯備線 日羽 P:東條ともてつ

 2024年4月5日、特急「やくも」に新型車両273系が導入されるのに先立って、「スーパーやくも色」の381系が姿を消します。2023年のリバイバル企画での復活から、約一年間の活躍に幕を下ろすこととなります。今回はそんなスーパーやくも色の軌跡を振り返ります。

【写真】まもなく引退の「スーパーやくも」色!懐かしのパノラマ型グリーン車の写真も!

■パノラマ型先頭車の381系

 1987年4月にそれまでの国鉄が分割民営化し、新たに7社からなるJRグループが発足しました。その直後から、それまでの国鉄のイメージからの脱却をねらって、各社がこぞって個性的な新型車や改造車を投入し始めました。JR西日本では「新快速」用の電車として221系を新製したのが当時一番のトピックでしたが、特急型も国鉄型を活用しつつ、従来よりグレードアップした接客設備に改良することでイメージアップを図りました。
 1989年3月、485系を改造した「スーパー雷鳥」が運行開始します。この「スーパー雷鳥」では半室グリーンのラウンジカーのほか、大型の窓ガラスを先頭部に設けたダイナミックな形が特徴のパノラマ型グリーン車のクロ481形2000番代を連結していました。種車となったのは中間車であるサロ489形1000番代(-2101は普通車のサハ481-118が種車)で、これを先頭車化改造したものでした。これに追随する形で1989年7月に登場したのがこの「スーパーくろしお」用381系です。
 カラーリングは白基調に黄色と赤色の帯を配した明るいものに。もちろん「スーパー雷鳥」同様にパノラマ型グリーン車に改造した先頭車クロ380形を連結しており、こちらの種車も中間車であったサロ381形でした。展望を楽しめる大型窓を備えた前面だけではなく、床面は100mm嵩上げしたハイデッキ構造とし、側窓も上方向に80mm、下方向には16mm拡大され、眺望を良くする工夫が随所に見られます。

 このクロ380形同様に連結して1994年12月にデビューしたのが「スーパーやくも」でした。片方の先頭車をサロ381形改造のクロ380形としている点や、車体そのもののデザインは「スーパーくろしお」編成のものを踏襲しています。塗装は薄い紫を基調に赤紫とホワイト、濃い青紫の帯を配し、非パノラマ側は国鉄特急色の「ヒゲ」風のデザインが見られます。
 もちろんパノラマ型グリーン車だけではなく、普通車もグレードアップが図られており、シートピッチを従来の910mmから1000mmに拡大させ、快適性も向上しました。

■「やくも」統合と「ゆったりやくも」改造により一時消滅

 しばらくは国鉄色の「やくも」と紫色の「スーパーやくも」の二本柱で運行されていましたが、1997年に無印「やくも」編成にも塗装変更車が登場。この編成の塗装はグレー地に緑と黄色帯を配したものとし、さらに2006年には「スーパーやくも」が廃止となり、列車名が「やくも」に統一。2007年には内装の更なるリニューアルがなされた「ゆったりやくも」への改造が始まり、塗装も白地に赤と緑帯の「ゆったりやくも」色に変更。2010年には塗装も統一されます。

 2008年頃には「スーパーやくも色」は消滅していた上に、「スーパーやくも」廃止後は先頭車前面ロゴからは「SUPER」の部分が、側面の部分は「SUPER」に加えて「WEST JAPAN RAILWAY COMPANY」のロゴが消されていました。

■2023年に復活したリバイバル「スーパーやくも」 終焉へ

 「踊り子」で活躍していた185系が引退したことで、国鉄特急型電車を使用した定期特急としては日本に残る最後の存在となった381系「やくも」。その注目度は年々上がっていきましたが、2022年に国鉄色が復活したのを皮切りに、リバイバルシリーズ第二弾として「スーパーやくも色」も十数年ぶりに復活することに。「SUPER YAKUMO」のロゴもしっかりと再現され、民営化まもない頃を彷彿とさせる姿となりました。

 約1年間活躍し、時にはゆったりやくも色や国鉄色と混結されることもあったスーパーやくも色のリバイバル編成ですが、来たる4月5日、ついにその運行を終えて、後継の273系にバトンタッチします。

 また、2024年6月末には、残るリバイバルカラーである緑やくも色と国鉄色の引退も予定されており、いよいよ世代交代の時が近づいてきました。今月、民営化から37年が経ちましたが、国鉄の面影がまた一つ消えていくことになります。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加