185系

特集・コラム

今や数少ない現役車 E2系の最終増備車って結局何が違うの?

2024.04.01

text & photo:鉄道ホビダス編集部

▲2010年に増備されたE2系1000番代のJ70〜75編成。

東北新幹線 那須塩原

 1995年に200系に代わるJR東日本の新たな主力新幹線として登場したE2系新幹線。量産先行車に始まり、1996年には量産車が登場。1997年より営業運転を開始し、その後も増備が続けられていきました。長きに亘る増備に加えて、編成組み換えや転属なども発生し、細かい形態差があるのも特徴の一つです。そのうち、2010年に最後の増備分として製造されたJ70〜J75編成は、2024年3月のダイヤ改正後も細々と活躍を続けています。

【写真】E2系最終増備車の違いを写真で見る!

■八戸延伸開業で登場した1000番代

 2002年12月に開業した東北新幹線の盛岡〜八戸間。これに先立ち、従来のE2系0番代から派生した区分として2001年に登場したのが1000番代です。先頭形状は従来と変わらず、一見0番代とそこまでの違いはないように見えます。ですがよく車体を見てみると、窓が座席2列分と長手方向に拡大され側面からの印象が大きく変わったほか、パンタグラフもシングルアーム式となりカバーが廃されスッキリした印象に。編成長も従来の8両編成から2002年の運行開始時には10両とされ、0番代J編成もこれに合わせる格好で中間車が増備され、10両編成になりました(量産先行車J51編成は落成当時8両編成)。そのほかにも一部車体構体にアルミダブルスキン構造を採用や車体間ダンパの設置など、装備面でも充実が図られており、派生した番代区分ではあったものの、大きなモデルチェンジを遂げました。

■実はE5系量産先行車よりも新しい

 1000番代はその後も増備が続けられていましたが、2005年で一旦製造を終えます。その間にE5系量産先行車が2009年に落成。鋭い先頭形状に、「常盤グリーン」と称されるグリーンの美しいカラーリングが非常にインパクトあるものでした。
 そんなE5系の落成からしばらく経った2010年12月、東北新幹線が新青森まで延伸され、晴れて全線開業となりました。これに先立ち増備されたのがE2系のJ70編成からJ75編成までのグループです。

 このグループの区分はそのまま1000番代であるものの、2005年に増備されたJ69編成とは約4年のブランクが開いているため、各所でアップデートがなされました。特に見た目で一番目立つのが2段式のフルカラーLEDとなった行先表示器でしょう。それに伴い表示器自体の大きさも拡大され、よりカラフルに、見やすい表示器に進化しました。さらに車内には読書灯が設置されているほか、車内案内表示器もフルカラーLEDの2段式のものに進化。そして何より利用者として嬉しいのがコンセントの設置でしょう。J69編成が増備された2005年頃ではまだあまり一般的ではなかった新幹線の車内コンセントでしたが、2010年頃になると新幹線や特急型に欠かせない車内設備の一つになりつつありました。同一系式でありながら、長年の製造により細かいアップデートが見られたのもE2系の特徴の一つです。

 このように、E5系量産先行車よりも新しいE2系ということで、相応の進化を遂げたのがこれらJ70〜75編成なのです。

■最後に残ったE2系

 これらのE2系は他の編成と比べて経年も浅く、コンセントやフルカラーLEDなど、接客設備としてもそこまで見劣りすることがないため、E2系の置き換えがE5系によって開始された頃でも、最後まで残るだろうというのはある程度予測されていました。

 それはそのまま現実となり、現在営業運転に就いているE2系は全てこのグループとなりました。逆を言えば、これら最終増備車以外のE2系は先の2024年3月までにすべて引退しており、E2系の歴史もいよいよ最終章になろうとしています。なお、2005年までの製造分として最後まで残ったJ69編成は、東京ディズニーリゾート40周年を記念した「Magical Dream Shinkansen」ラッピングが施されていましたが、3月末に新潟へと回送され、そのまま廃車となるものと見込まれています。

 ついにJR東日本の新幹線はすべてコンセント付きとなった現在。E3系の置き換えもE8系によりいよいよ開始されましたが、このE2系最終増備車もE3系2000番代とほぼ同時期に登場しているため、今後の去就が注目されています。

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