▲イベント時に並べられた鶴見線(手前2本)と南武支線(奥)の205系。
P:芦原やちよ
後継車両の登場で、JR東日本管内では鶴見線、南武支線、仙石線での運用のみとなってしまった205系。そのうち南武支線へは新潟からやってきたE127系が2本転属し、運用される機会が減少。鶴見線でも2023年12月から新型車両E131系1000番代の運行が開始されたことで、今後置き換えが活発化していくものと思われます。そんな中、山手線で活躍していた初期の車両が今もしぶとく生き残っています。
■205系発祥の地 山手線
1985年、103系や101系の後継として開発・製造された「省エネ電車」201系は、その製造コストが高かったことがネックになっていました。そこで当時開発中だった211系のシステムを基本によりコストダウンを図り、車体もより軽量で塗装も不要なステンレス製とした新型車両が登場します。それがこの205系でした。
最初に導入されたのは103系がデビュー当時から長らく活躍を続けていた山手線。冷房車やATC車の103系導入はありましたが、フルモデルチェンジとなったのは当時22年ぶり。上段下降下段上昇式の2段窓を備えた量産先行車4本が投入されたのち、1段下降窓に改良された量産車が登場。見た目もよりスマートになりました。
山手線への205系投入は民営化後も続けられたほか、1988年には横浜線へも投入され、その後は南武線、や埼京線、京葉線に相模線等に新製投入されました。
■E231系導入で各地へ分散
山手線205系に転機が訪れたのは2002年、E231系500番代の登場でした。これは先に中央・総武線で導入が開始されていた当時のJR東日本の最新鋭車両E231系の山手線版で、2005年に205系は山手線での運用を終えます。
山手線をはじめとして置き換えられた205系は、当時まだ首都圏の各地で活躍していた103系などの旧型車両の置き換えに回ることになります。
■新型導入で数を減らす山手線転属組
先述の通り、E231系導入に伴い各地へ転属した205系。現在鶴見線、南武支線、仙石線で活躍する205系の一部には、山手線でデビューした初期の車両が今も活躍を続けています。山手線に投入された初期の車両を一番簡単に見分けられるのは、ドア窓の大きさです。窓が小さいのが初期車、下辺方向に大きいのがJR化後に製造された後期の車両と見分けがつきます。
今現在もJR東日本管内で活躍する205系は全て先頭車化改造車のため、前面デザインは元々の205系のものとは大きく異なります。ですが、車両自体は古いものが現役で活躍していることになります。先述の通り、新型車の登場でその活躍の場がどんどんと狭まっている205系。とはいえ、205系は富士急行に譲渡され現在「6000系」と系式もあらためて運行されています。さらに、205系オリジナルの前面スタイルが残っている編成が数多く在籍していることに加え、最初期に製造された2段窓の量産先行車もこの地で活躍しています。富士山の麓ながら、往年の山手線を今も感じることができる貴重な場所となりつつあります。