▲帯色の違いはあるが、非常によく似たE231系0番代と209系500番代。見比べてみると意外にも違うところが…?
P:東條ともてつ
JR東日本の通勤型電車である209系とE231系。後継車両であるE233系やE235系が登場した現在でも、各地で活躍を続けています。そんな両系式は209系が先代で、その次世代車としてE231系と続いているはずですが、209系500番代とE231系0番代、209系1000番代とE231系800番代は非常によく似ており、形だけで見たら見間違えてしまいそうです。
■床下機器やシステムに大きな違い
先述の通り、E231系は209系の後に登場した系式で、大きな違いとして車両自体を管理するシステムの進化や、車両のモーターを制御するVVVFインバータの進化などが挙げられます。また、それまで「通勤型」と「近郊型」で系式を分けていたのを、E231系より「一般型」として統一。それぞれ同じ系式内で「通勤タイプ」と「近郊タイプ」と分ける方式に変化したのも特徴の一つです。
■登場順がややこしい!E231系900番代と209系500番代の関係
さて、209系500番代とE231系の関係は少々複雑です。209系に代わる次世代車として、1998年10月に「209系950番代」という試作車両が誕生します。これが後のE231系900番代に当たる車両なのですが、当時中央・総武線で活躍を続けていた旧型車の置き換えが急務となり、次世代車(=209系950番代)の量産の目処が立つまでの間、209系の増備により旧型車を置き換える計画になります。そこで209系のシステムを基本に、車体は次世代車209系950番代に準拠したものを組み合わせたのが209系500番代となります。
そのため、E231系ファミリーで最古参となる900番代(元209系950番代)は、209系500番代よりも進んだシステムを備えていながら、車齢的には先輩に当たるという、なんとも複雑な経緯があります。
その後209系950番代の結果を反映し、2000年にE231系量産車が登場。中央・総武線ではこのE231系による旧型車の置き換えが無事開始され、209系950番代も量産化改造により、E231系900番代に改番されました。
■同じ地下鉄直通仕様
209系1000番代とE231系800番代もお互いに非常に似た外観となっています。似ている理由は、地下鉄千代田線直通用として常磐緩行線に投入された209系1000番代の車体構造をベースに、同じく地下鉄の東西線直通用としてE231系800番代が製造されたためです。こちらももちろん系式が違うため、見た目が似ているというだけで、走行システムなどはそれぞれ全くの別物となっています。
また、209系1000番代は増発に伴う増備目的で、車両の置き換えなどを念頭に作られた車両ではないため、10両編成2本のみの少数派。また、E231系800番代は当時老朽化していた東西線直通用の103系や301系を置き換えるために登場した車両ですが、最終的に10両7本のみの在籍と、いずれもそこまで大所帯ではありません。
2018年に209系1000番代2本は常磐緩行線から撤退。2019年からは中央線用E233系グリーン車組み込み改造に際し、予備車確保のため豊田車両センターに転属、中央快速線系統で運用を開始し今に至ります。本来別々の場所を走っていた209系1000番代とE231系800番代ですが、中央快速線と中央緩行線で顔を並べる機会ができたのは、なんとも不思議な巡り合わせです。
■似ているようで実は違う前面廻り
よく似た両車ですが、実は形だけで見分けられるポイントがいくつかあります。その一つが「スカート」です。後年交換された現在の強化型スカートでは、スカートの上辺が高いのが209系、低いのがE231系と見分けられます。さらにホーム検知器(前面下部両端に付いているセンサー装置)が付いている車両ではその形状が異なる上、LED表示器のフォントにも両車若干の違いがあります。また、209系は3桁の運行番号の表示器ですが、E231系は5桁の列車番号表示器になっているなど、暗い場所でも実は見分けることはできるのです。
似ていながら、比べてみると意外に違う209系とE231系。この細かい形態差というのが、JR東日本の新系列電車の魅力の一つのように思います。