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ギミック系プラレールの代表格!懐かしい「ドア開閉通勤電車」を覚えてますか?

2023.10.06

text & photo:なゆほ

 60年以上の歴史があるプラレールの製品・歴史・情報をまとめ、自身のホームページ「プラレール資料館」で公開しているプラレールコレクター なゆほさん の鉄ホビ連載!長い歴史を持つプラレールというおもちゃをコアな目線から語っていただきます!今回は1988年に発売された「ドア開閉通勤電車」にクローズアップ!今も続く人気プラレールギミックである「ドア開閉」。その初代ドア開閉式のプラレールは、中央線でもお馴染みだったあの系式をモチーフにしていました。(編集部)


↓懐かしい「ドア開閉」の201系プラレール写真はこちら!↓

 プラレールの車両ギミックと言うと、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?古くは前照灯が点灯する「ライト付」に始まり、バネをギアで擦ることで蒸気機関車のドラフト音を再現したり、電子オルゴールを組み込んで音楽を奏でたり、電子基盤を組み込み実車さながらの音を出すように設計された「サウンド車」、手を触れずに貨物の積み下ろしを行える貨車がある「積み込み・積み下ろし系」などが挙げられます。
 そんな中、今や完全に定着して既に40年近くが経とうとしている車両ギミックがあります。「ドア開閉」ギミックです。鉄道がモチーフとなっているプラレールですが、子供向けのおもちゃである事から、他に数多ある鉄道系玩具同様に「車両のドアを開ける」という機能は今も昔もあまり考慮されていません。しかし、「ギミック系車両」という枠組みで、車両のドアを開閉して遊べるものが1988年に発売されたのです。

▲20~30代には懐かしいであろう、1988年に発売された「ドア開閉通勤電車」。中央快速線の201系がモデル。

 既存の動力が刷新され、プラレールの新たな時代が始まった1988年。前年の1987年は既に発売済みの車両の動力を刷新して発売を継続する形の商品展開となっていましたが、翌1988年から新規設計の車両の発売が始まり、その中で、1988年7月25日に「ドア開閉通勤電車」が発売されました。国鉄が満を辞して開発した省エネ電車、中央快速線の201系をモデルとしたこの製品ですが、実にプラレールらしい製品となっています。
 これは1985年に発売された、205系がモデルの「通勤電車」の車体を1987年に改修したもの(二段窓 → 一段下降窓)をベースに、ドア開閉仕様で新規設計された中間車を挟んでオレンジバーミリオン色で成型。実車のように、駅に着いたらドアを開き、発車前に閉めるという遊びができる本製品は大いに受け、たちまちプラレールの代表的な車両の一つとして数えられるようになります。

▲クーラーキセ部分に切り欠きを設け、ドア開ボタンと閉ボタンを配置。車内には乗客が描かれた箱状のパーツが入っている。

 205系量産車がモデルの1987年以降のタイプである「通勤電車」をベースとしたため、側窓は実車の201系には存在しない一段下降窓、車体にはビードとラインカラーのモールドが入り、あくまでも「パッと見た感じは201系に見える」という、プラレールらしいデフォルメがなされています。絶版に至るまで201系以外の車両としては発売されなかった「ドア開閉通勤電車」ですが、当のギミックがある中間車も先頭・後尾に合わせてモールド入りで設計されています。実車ではフラットな鋼製車体ですが、このようにモールド付きとなったのがプラレールらしいと言われる所以です。ギミックの都合上、必ず両側のドアが開くのはご愛嬌。

 201系と言えば前面中央上部に配置された2つの前照灯が印象的ですが、プラレールでは「東京」の行き先幕がステッカーで貼られ、前照灯は省略されました。屋根はライトグレーで塗装され、オレンジ一色の車体にアクセントを加えています。山手線などと並び、東京のJR通勤電車の代表としてイメージされることの多い中央線の電車。発売後はギミックを搭載している事もあってすっかり定着し、2003年のリニューアルを経て2007年に絶版となるまで、約19年間ラインナップに乗り続けました。20代後半~30代の方の中には、子供の頃に遊んだ事があるという人も多いのではないでしょうか。

 一般販売の製品では、絶版となるまでオレンジ色の中央線201系を貫いてきた「ドア開閉通勤電車」ですが、実はカラーバリエーションが存在しています。

▲総武線各駅停車で活躍していた201系がモデルの「201系通勤電車(カナリア)」

 2001年に初めて開催されたプラレールのイベント「プラレール博」にて、会場限定品の一つとして当時総武線各駅停車で活躍していた201系が製品化されました。既存のものをカナリア色で成型したカラーバリエーションになりますが、この製品で初めて「201系」であると明記されたのが特筆できます。前照灯もしっかり再現され、車輪はグレーのものを装備した事で一層引き締まった印象を受けます。
 中央・総武線の御茶ノ水~三鷹間で共に走っていた2色の201系。1980年代から2000年代前半の東京の鉄道風景を作り上げるには欠かせない車両と言えます。ちなみに、京葉線で走っていたスカイブルーの201系は製品化される事なく終わってしまいました。

 JR東日本の路線から引退して既に13年、JR西日本でも大阪環状線・おおさか東線からの撤退も記憶に新しく、今や風前の灯となった201系。残された数本が大和路線で最後の活躍をしています。
 先日、中央線の豊田車両センターで撮影会が行われ、保存されているクハ201-1が現役時代と変わらぬ姿を披露しました。プラレールでも絶版から15年が経ち、東京を代表するオレンジ色の電車も既に歴史の中です。

 「ドア開閉」機能を持つプラレールは、201系の絶版後となった後は、同じく東京を代表する山手線の車両に引き継がれ、「E231系500番台山手線」が2007年に発売、2020年からは「E235系山手線」がその役割を担っています。今年で発売から37年となるドア開閉のプラレール。定着しきった今だからこそ、改めて注目すると面白いギミックだなと思えてきます。

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