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特集・コラム

奇抜な新型地下鉄電車!プラレール製品では異例の事態に 一体何が…?

2023.09.01

text & photo:なゆほ

 60年以上の歴史があるプラレールの製品・歴史・情報をまとめ、自身のホームページ「プラレール資料館」で公開しているプラレールコレクター なゆほさん の鉄ホビ連載!長い歴史を持つプラレールというおもちゃをコアな目線から語っていただきます!今回は先日発売された「Osaka Metro 400系」にクローズアップ。奇抜な前面の造形や、実車同様の4ドア表現の車体などが話題になりましたが、中間車の塗り分けエラーで希望者には交換対応に。その後市場から姿を消し、今後の動向が気になりますが…?(編集部)


 2021年12月、衝撃的なデザインの電車のデビューが発表されました。今となっては皆さんご存知、Osaka Metro 400系です。2025年に予定されている大阪・関西万博の開催に際し、会場へのアクセス路線となる中央線の新型車両として開発された車両です。今までのOsaka Metroの車両とは大きく異なる外見と車内インテリアが目を引きます。外見では、ドアを中央線のラインカラーである緑を配し、優先席付近のドアは青に、クロスシートを装備した4号車のみグレーに。また、縦帯としてホームドアによるラインカラーの隠れに対応しています。車内はモノトーンの化粧板に、外観のドア色に合わせて一般席が緑、優先席が青、クロスシートがグレーのハイバックモケットという組み合わせになり、大阪の地下鉄のみならず、鉄道車両としても今までにない新鮮な装いになっています。

 この話題の電車をプラレールが見逃すことも無く、2023年4月に製品化が発表されました。実車が同年6月25日に営業を開始するのに先立ち、6月22日に発売される事となりましたが、このとき中間車のドアのカラーリングが実車とは異なっていました。

▲2023年6月22日に発売された「S-37 Osaka Metro 中央線400系」

 実車の塗り分けられたドアを表現するため、「20m級4扉の車両をデフォルメする時は3扉にする」というプラレールの慣例を打ち破り、4ドア表現となりました。Osaka Metroのロゴや、優先席付近ドアの車椅子マークなどは省略され、クーラーもシンプルな造型となっていますが、前面の前照灯・尾灯、乗務員扉の足掛け、運転台窓周りの緑の縁取り、連結器周りは上手く表現されています。しかし、中間車のドア配色は本来の「青・緑・緑・青」ではなく、実車とは異なる「緑・緑・緑・青」の組み合わせで発売されてしまいました。

 これに対し、6月22日の発売と同時に「正規配色の中間車への交換対応」が行われる事が発表されました。これは希望者はメーカーに問い合わせる事で後日交換品が送られてくるという方式です。金型は全く同一で、ドアの塗り分けが異なるだけですが、エラーの塗り分けで一般流通した製品と、その交換対応で送られてくる中間車の存在が一部コレクターの間で話題になりました。

▲前面の造型はお見事。四隅に配置されたライトも抜かりなく、前照灯と尾灯が作り分けられたステッカーが貼られている。

 当初は秋頃の配布を予定していたとされる交換中間車ですが、予定が早まり8月上旬から順次希望者に配布されています。この中間車配布で、正しい塗り分けの編成で遊べるようになり、市場製品も次回生産分から直されるものだと思われていましたが、交換中間車の配布とほぼ同時にとあるニュースがプラレールファンの間を駆け巡りました。それが「出荷停止」の一報です。

 このときは「出荷停止なら正規の塗り分けになってから再販か?」と推測されていましたが、8月下旬になると「メーカー販売終了」の札が店頭に掲げられたおもちゃ売り場が見つかるようになります。これにより、このコラムを執筆時点では「全国流通品の品番付き製品が1ヶ月弱で販売停止中」という、プラレールとしては異例の状況になっています。

 現状一回限りの流通、しかもそれが全国ともなると各取扱店舗での在庫も少なく、更に8月末時点で既に中古相場が高騰しかけており、このまま通常品として再販されない限りは「幻のプラレール」として後世に伝わる製品になるのかもしれません。

▲エラー塗装となる中間車と正規配色の中間車。実車をよく知らないと違和感を覚える事すらないかもしれない。

 これまで昔の製品を取り上げてきた当プラレールコラムですが、今回のように現在進行形で状況が変わっているプラレールという、後にも先にも無さそうな事例を取り上げてみました。2023年9月1日現在、明確に絶版となったと告知があったわけではありませんが品番「S-37」は取り扱いがなく、実質欠番状態にあります。プラレールのOsaka Metro 400系ですが、その動向が注目されています。

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