text:鉄道ホビダス編集部
‘13.9.13 京成電鉄本線 ユーカリが丘 P:吉原大貴
(鉄道投稿情報局より)
成田空港アクセスや、都営浅草線や京急への乗り入れイメージが強い京成電鉄。そのフラッグシップ特急として長年君臨し続けている「スカイライナー」は、現在3代目となる車両(2代目AE形)で運行されていますが、その初代車両の床下機器は今もなお現役なのはご存知でしょうか。今回は初代AE車の床下機器を流用して生まれた3400形電車の過去と現状について見ていきます。
■スカイライナーから生まれ変わった3400形
▲初代「スカイライナー」だったAE車。写真はクリームとブラウンのツートンカラーとなる初代塗装。
’81.1.1 京成成田 P:深山剛志
1991年、ターミナル直下へ移った新しい成田空港駅の開業に備え、1990年に2代目「スカイライナー」として登場したAE100形ですが、初代「スカイライナー」のAE車も6両から8両編成に組み替えられて、しばらく活躍を続けていました。ですが、その後もAE100形の増備は続き、1993年にはAE車の運行は終了します。ですが、AE車の床下機器についてはまだ使用できると判断され、これらの機器を流用して生まれた通勤車が京成3400形です。
この3400形は、先述の通りAE車の床下機器である台車・主電動機・制御装置・補助電源装置やその他の電装品も流用しつつ、車体は新造して落成し、最終的に1995年までに8両編成5本、計40両が製造されました。車体デザインは当時の最新鋭3700形に似たものながら、材質は普通鋼製。製造は京成との関わりが深かった大栄車輌が担当しました。
■床下機器は40年モノに
▲ツアーで、普段は入線しない成田スカイアクセス線へと入る3400形。
‘21.10.9 京成電鉄成田空港線 印旛日本医大~成田湯川 P:堀 裕一
(鉄道投稿情報局より)
そんな3400形ですが、床下機器はAE車時代からものであり、いずれも40年を超えて現役であったということになり、新製した車体でさえも1993〜1995年頃のもので、実に30年近く活躍を続けてきました。
長らく廃車もなく活躍していましたが、新型車両である3100形が成田スカイアクセス線系統に投入されると、従来の3000形7次車(通称3050形)が玉突きで本線に転用され始めます。これにより3400形もついに置き換えの対象となりました。
旧来の界磁チョッパ制御に加え鋼製車体と、さすがに3400形も寄る年波には勝てず、2020年頃よりついに廃車が発生。以降も徐々に引退していき、ついに2023年8月現在、8両編成1本のみの活躍となってしまいました。
気がつけば関東の大手私鉄でも徐々にVVVF制御ではない、直流電動機を使った車両は消えつつあり、中にはVVVF化率100%となった事業者もいくつかあります。そんな中、地下鉄にも直通し、界磁チョッパ制御の懐かしいサウンドを響かせながら都心部を駆け抜ける貴重な電車となった3400形。その元気な姿が見られる時間も、そう長くはないのかもしれません。