185系

特集・コラム

総製造両数一桁 激レア気動車「キハ37・38」は今岡山にいる!?

2023.08.19

text:鉄道ホビダス編集部

’09.3.9 久留里線 東横田〜横田 P:酒井敏寛
(お立ち台通信より)

 様々な事情から少数派となってしまった鉄道車両たち。そんな少数派な車両の中で、今回は国鉄末期に登場した一般型気動車であるキハ37形とキハ38形について触れていこうと思います。

■次世代車としてデビューしたものの5両のみ… キハ37形

‘22.8.13 水島臨海鉄道水島本線 球場前~倉敷市 P:正清雄也
(鉄道投稿情報局より)

 老朽化していた気動車の置き換え用として1977年に登場したキハ40系は、大量に製造され全国各地で活躍しました。ですが、性能や保守面での問題も多く、これらの反省点を踏まえ、地方交通線向けの新たな気動車として1983年に試験的に製造されたのがこのキハ37形です。車体長は20m級ですが、全幅全高がキハ30形やキハ38形と比べて一回り小さく設計されたため、連結するとのその違いがよくわかります。

 車内はロングシートでしたが、窓配置から分かるようにクロスシート化改造が行なえることを念頭においた設計としています。また、基本設計の古い従来型のエンジンの採用を止め、国鉄初の直噴式縦型機関DMF13Sを採用した上に、製造時のコストを抑えるため、変速機や台車などは廃車発生品を積極的に使用したことも特徴の一つです。

 5両が製造されたのみで量産はされなかったものの、設計思想やエンジンは後発の車両に大きな影響を与えました。5両のうち2両は加古川、3両は木更津に配置され、久留里線では2012年まで活躍していました。

■八高線で産声を上げたキハ35系の更新車 キハ38形

▲八高線時代のキハ38形。垢抜けた塗装は国鉄型気動車のイメージを一新するものだった。なおこの区間は現在電化されている。

’86.9 八高線 金子〜東飯能 P:長岡行夫

 八高線で使われていたキハ35系の老朽化及び冷房化対策を目的に、キハ37形の思想を受け継ぎつつ製造されたのがこのキハ38形です。なお、書類上はキハ35系からの改造扱いとなっており、実際に主要機器はキハ35系から流用しています。また、床下にはバス用の冷房装置を改良したAU34を搭載しています。

 1986年から1987年にかけて合計7両が製造され、当初は八高線で活躍していましたが、1996年3月の八高南線電化で全車が木更津に転属し久留里線用に。こちらも2012年まで活躍していました。

■共に久留里線で最後を迎えたが…?

‘22.7.4 水島臨海鉄道 水島本線 西富井 P:正清雄也
(鉄道投稿情報局より)

 キハ37形もキハ38形も、共に久留里線で活躍していましたが、新型キハE130系が2012年に導入されたことにより置き換えられ、運用を終えました。ですが、いずれの車両も第二の人生を歩むこととなります。キハ37形は久留里線で活躍した3両全車が、キハ38形は1003の1両が岡山県倉敷市を走る水島臨海鉄道へ譲渡され、久留里線の同僚同士で今もなお活躍を続けています。なお、水島臨海鉄道に譲渡されたキハ37形のうち1両とキハ38形は、現在オリジナルカラーに復刻されており、そうした点においても注目が集まっています。

 また、キハ38形のうち2〜4と1001・1002はミャンマーへと渡り、トップナンバーであるキハ38 1は現在千葉県いすみ市にあるポッポの丘に保存されています。

 今や貴重な国鉄型である上に、そもそもの製造両数が少ない希少形式だったキハ37形とキハ38形ですが、今もなお場所を変えて活躍を続けています。

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