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特集・コラム

プラレールで蘇る懐かしの黄色い電車!渋い車種チョイスだった総武線車両セット

2023.07.21

text & photo:なゆほ

 60年以上の歴史があるプラレールの製品・歴史・情報をまとめ、自身のホームページ「プラレール資料館」で公開しているプラレールコレクター なゆほさん の鉄ホビ連載!長い歴史を持つプラレールというおもちゃをコアな目線から語っていただきます!今回は2006年に登場した「総武線スペシャルセット」にクローズアップ。総武線ゆかりの車両3車種をセットにしていましたが、そのうち2つは発売時すでに引退していた車両ということもあり、シブめのセットとして話題になりました。(編集部)


 プラレールの販売形態と言えば、3両1編成にパッケージされた車両単品や、車両とレールが入っていてすぐ遊べるオールインワンセットなど、ニーズによって様々な形があります。プラレールが40周年を向かえた1999年に、3編成を1セットにした車両セットという新形態が登場しました。当初の商品名は「トリオ」と称していましたが、2000年代に入ってから「スペシャルセット」と命名され、2008年に至るまで様々なテーマで発売され続けました。今回はそのうち、2006年11月に発売された「総武線スペシャルセット」を見てみましょう。

↓懐かしの総武線プラレールの写真はこちら↓

▲セット内容は、E217系・205系・103系高運転台の3編成。

 2005年8月に発売された「山手線環状運転80周年記念セット」、2006年3月に発売された「京浜東北線スペシャルセット」に続く、東京の通勤路線のスペシャルセットの第3弾として発売されたのが「総武線スペシャルセット」です。先の2セット同様、既に引退している車両がセットとなった事により話題を呼びました。内容は総武線快速と横須賀線を走るE217系、そして2001年まで活躍していた205系と103系の3編成で構成されています。

 「山手線環状運転80周年記念セット」はE231系500番代・205系・103系の現役車両1編成と過去の車両2編成、「京浜東北線スペシャルセット」は209系0番代と500番代、そして103系という、当時の現役車両2編成に過去の車両1編成といった内容でした。対して「総武線スペシャルセット」では、発売当時に現役なのはE217系のみ。引退済みの車両の比率の方が高いという、子供向けのおもちゃとしてはかなりチャレンジ精神に溢れた内容になりました。なかなか渋い印象を受けますが、主に大人のファンの間で売れていたようです。

 総武線が題材なので、中央・総武線各駅停車の当時の現役車両である209系500番代とE231系をセットにしても良かったかと思いますが、前者は京浜東北線で既に製品化され、後者も車両単品でサウンドプラレールとして通常ラインナップにあったのを考慮して過去の車両をチョイスしたのかもしれません。様々な形式の電車が同時に走っていた総武線だからこそできた車種選定とも言えるでしょう。

▲セットの目玉とも言われる103系。鮮やかなカナリア色が眩しい逸品だ。

 E217系は既に車両単品が発売されていましたが、そちらは中間車が平屋仕様でした。そのため、セット品では中間車をダブルデッカーに変更しています。205系は、以前の記事でも取り上げた「通勤電車(カナリア)」以来の登場。屋根の塗り分けを始めとしたディテールアップも施されました。103系高運転台は先述の山手線と京浜東北線、JR西日本が限定発売していた大阪環状線(低運転台)に続く4回目の製品化です。プラレール黎明期より「電動プラ電車」「でんしゃ」などと呼ばれ、実におもちゃらしいデフォルメだった103系がリアルになった事により、発売当時より大人気の車両となっていました。205系のブラックフェイスのディテールや103系の運行番号・方向幕は全てタンポ印刷での表現となっており、高クオリティに仕上がっているのが高評価を得ました。
 こういった車両単品との差別化、また車両単品としては発売されていない車両を高いクオリティで発売するのが、以前取り上げた「歴代つばめスペシャルセット」を含めたスペシャルセットの特徴です。

▲セットの車両を使い、総武線の複々線区間を再現。2001年までの日常風景。

 「総武線スペシャルセット」の後、2007年1月に「常磐線スペシャルセット」が、同年3月に「中央線スペシャルセット」が発売され、首都圏の103系高運転台車が5色揃いました。発売から約17年が経ち、総武線の車両の装いも変わりました。E217系はE235系への置き換えが進められ、205系と103系を置き換えた209系500番代は引退。E231系も山手線から転属してきた500番代の方が主力となり、0番代は一部を除き、209系500番代共々武蔵野線と八高線へ活躍の場を移しました。

 「スペシャルセット」シリーズは2008年9月発売の「スーパー列車大集合セット -新幹線・SL・貨物列車-」を最後に発売されなくなり、2012年および2017年に久しぶりに発売されて以降、2023年現在に至るまで発売されていません。今となっては、2000年代に頻出していた「スペシャルセット」のシリーズが再評価され、中古市場では高値が付きやすくなっています。多くの製品が既に15年以上前のものとなってしまった「スペシャルセット」シリーズ。全国的に新型車両のデビューや旧型車両のイメージも変わってきているので、今こそこういったセットを復活も期待したいですね。

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