text:秋山 仁
photo:鉄道ホビダス
みなさんは方向幕テープをご存じでしょうか?これは方向幕のデザインが印刷された梱包用のビニールテープで、とてもリアルなものとなっています。今回は2023年6月30日をもって定期運用が終了したキハ85系車両の方向幕テープを使って、電動式の方向幕を作ってみました。
■作り方
(1)方向幕部分を作る
方向幕テープには糊がついており、そのままだとくっついてしまうため、まずは紙を貼りましょう。使用する紙に指定はありませんが、トレーシングペーパーのような薄い紙がおすすめです。テープを紙に貼る際には、できるだけしわができないようにすると、完成時の見た目がよくなります。
(左:作成した方向幕のパーツ:方向幕テープ)
(2)ケースにシャフトを取り付ける
方向幕は2つの軸を通して幕を巻き取る構造となっています。そのためケースにシャフトの穴をあけて、シャフトを2本通します。この時、ケースやテープの幅に合わせて、ワッシャー・スペーサーを取り付けています。
(3)方向幕の取り付け
2つの軸に対して、テープで方向幕を貼り付け、巻き取っていきます。
(4)シャフトにスプロケットを取り付け
続いてシャフトにスプロケット(赤いパーツ)を取り付けていきます。これは、ラダーチェーンに対して回転を伝えるパーツです。ここまでできれば手回しの方向幕として遊ぶこともできます。
(右側の赤い歯車の形をしたパーツがスプロケット)
(5)ギヤボックスの取り付け
動力機構であるギヤボックスは、ケースのふた部分に取り付けます。モーターの軸にもスプロケットのパーツを取り付けておきます。
(6)ラダーチェーンの取り付け
先ほど取りつけた、スプロケットのパーツにラダーチェーンを取り付けます。軸を回しながら方向幕がスムーズに動くように方向幕の張りを調整するのがポイントです。
※方向幕では、巻き取る側の軸と巻き取られる側の軸は、基本的に回転数が異なるため、通常直結するとうまく動作しません。本物の方向幕では、この回転数の差を考慮して幕の張力を調整する機構が備わっています。しかし今回は、簡単に作ることを目的としてこのような機構は取り入れておらず、幕の張りを緩くすることで対応させています。
(7)車体をイメージしたパネルを取り付ける
方向幕に合わせてパネルを紙で作り、ケースに取り付けます。方向幕の種類を変えても使えるように、プラバンを使って車体イメージを差し込み式とし、取り外しができるようにしています。
(右が作成したパネル)
(8)リモコンと接続する
モーターを動かすためにギヤボックスに電源を接続します。今回はタミヤのリモコンボックスを使用して操作しました。
■実車とともに
「南紀」から引退する前に、実車と一緒に撮影してきました。この方向幕テープには、ほぼすべての幕が入っているため、同じ幕を表示することができました。
■実際に動かしてみよう!
作成した方向幕に対してリモコンボックスを取り付けて動作させています。
■番外編:東海道新幹線300系編
前面パネルは差し込み式となっているため、別の方向幕テープを使えば、違う車両にも対応可能です。
■今回使ったパーツリスト
・プラスチックケース(トランプのカードサイズ)
・タミヤ 3mm ネジシャフトセット
・タミヤ ラダチェーン&スプロケットセット
・タミヤ ミニモーター低速ギヤボックス (4速)
・タミヤ 2チャンネルリモコンボックス
・プラバン
・ネジ、ナット、スペーサーなど