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えっ、こんなに種類があったの!?プラレール300系新幹線の30年史とは?

2023.05.19

text & photo:なゆほ

 60年以上の歴史があるプラレールの製品・歴史・情報をまとめ、自身のホームページ「プラレール資料館」で公開しているプラレールコレクター なゆほさん の鉄ホビ連載!長い歴史を持つプラレールというおもちゃをコアな目線から語っていただきます!今回は300系新幹線のプラレールについてです。実車は引退してから10年以上が経過しましたが、初代「のぞみ」用車両ということもあり、現在に至るまで数多くのバリエーション製品が生まれました。今回はそんなプラレールの300系一族にクローズアップします。


 1992年に300系新幹線と共にデビューした、東海道・山陽新幹線の最速達列車である「のぞみ」号。この列車は、初代車両の300系で初めて採用された白基調に窓下帯という新しいカラーパターンや、「ひかり」よりも速い列車という、当時の新幹線のイメージを大胆に打ち破ったことから、瞬く間に子どもたちの新幹線への印象を塗り替えました。

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 プラレールでも、この新型車両を逃すまいと1992年8月10日に「2スピードのぞみ」との商品名で製品化。0系・100系・200系とは異なる、スタイリッシュなフォルムに近未来の到来を感じさせた300系は、早速プラレール新幹線のイメージリーダーへと躍り出ました。今回は、プラレールの300系に多く存在するバリエーションについて紹介していきます。

▲1992年発売の「2スピードのぞみ」

 最初に発売された「2スピードのぞみ」は、その商品名の通り2段階のスピードに対応したモーターユニットを搭載する3両編成の単品です。モデルは量産車となり、先頭形状が若干異なる先行量産車のJ0編成は製品化されていません。

 今まで発売されてきた、0系「ライト付ひかり号」、100系「ニュー新幹線」、200系「ライト付東北・上越新幹線」とは異なり、300系ではライト機構のない既存の製品と共通の台車が採用されています。実車の車体構造をデフォルメするにあたり、台車を車体の一部として表現できなくなったことによるものですが、やはり新幹線にライト機構は欲しくなってくるもの。同年発売の遠隔操作系の製品「ぼくがうんてんする リモコンのぞみ号セット」ではライトが搭載されたものが登場しました。

▲「リモコンのぞみ号セット」の300系は3両永久連結

 「リモコンのぞみ号セット」は、1988年に発売された「ぼくがうんてんする スーパーひかり号セット」の実質的なリニューアル品として発売されたものでした。「スーパーひかり」とは、300系の開発過程で製作された次世代型新幹線のモックアップである「スーパーひかりモデル」を製品化したもので、言わば架空車両の製品でした。ですが、実際に営業用車両が登場した際、同じ内容のセットをリニューアルの上発売するというのは、当時の「のぞみ」に対する期待度を感じ取れる気がします。

 翌1993年には、車両に人形を載せて遊ぶ事ができる「人形あそびシリーズ」のいち車両として300系が登場しました。先頭車に人形を載せられるように開口部を設け、中間車となる2両目に電池を入れる方式となるのが通常品とは異なります。この2両目ですが、この時期の製品としては珍しく、通常品との作り分けがされています。これがかなりマニアックです。

▲「人形あそび」の325形と、通常品他の328形。連結させると300系らしい編成美が現れる。

 デビュー当時の300系は、パンタグラフから発生する騒音を軽減する目的でかなり大型のパンタグラフカバー、通称「舟形」を装備していました。実車のパンタグラフカバーは、パンタグラフ搭載車と隣接する碍子搭載車の2両に跨って装備されています。プラレールではデフォルメの都合上、パンタグラフ搭載車を優先的に製品化する事が多いですが、300系のように2両に跨る装備を持つ車両は違和感なくデフォルメするのが難しいものであったと思われます。
 そこで「人形あそび」ではパンタグラフ搭載車である328形(6号車)に隣接する325形500番代(5号車)を中間車に採用。既存の中間車は博多方に連結されている328形をモデルとしていたので、「人形あそび」も同じく博多方の325形をモデルとしました。これにより、通常品の中間車と連結させると大型パンタグラフカバーが印象的な4両編成を組む事ができます。

 1995年には「音声指令シリーズ」が登場。「リモコンのぞみ号」と同じく3両固定編成の遠隔操作系ですが、既存製品と区別するためか、車輪が黄色に変更されています。1996年からはメーカー本体や雑誌の懸賞品に300系が起用され、金メッキ仕様とクリア成型仕様が製作されました。クリア仕様は500個限定配布と言われており、かなり希少な一品です。1999年には当時存在したファンクラブ用の配布品として銀メッキの2両編成も作られました。この頃には「のぞみ」用の新型車両500系と700系が登場していたため、300系はプラレールの代表的な新幹線から一線を退くことになりましたが、2002年7月の「新幹線一斉リニューアル」では実車の動向に合わせて中間車のパンタグラフカバーを更新し、引き続きラインナップに残りました。

 初代のぞみ号として不動の地位を確立していた300系ですが、実車の方ではデビューから15年が経過した2007年からN700系の投入に伴う廃車が発生。その後同車の増備に合わせてどんどん数を減らし、2012年3月に東海道・山陽新幹線から姿を消しました。

 プラレールでは、2012年9月に「ぼくもだいすき!たのしい列車シリーズ さよなら300系新幹線」としてさよなら運転仕様が製品化されています。通常品はしばらく残りましたが、2014年に絶版となっています。2014年に行われたプラレールの動力更新、いわゆる「新メカ化」には対応せず、「新動力」時代の新幹線のまま姿を消したかのように思えた300系ですが、2019年にプラレールが60周年を迎えた際に驚きの復活を遂げました。

 「ライト付 パパとぼくの300系&N700typeA のぞみダブルセット」として新旧のぞみ号車両が製品化され、この際に300系の先頭車が新メカ対応・ライト付きの完全新規金型で再登場したのです。ファンには「引退済みの車両に手を加えるとは」と驚かれ、商品名に「パパとぼくの」とあったために、300系が現役だった時代に子どもだったユーザーからは衝撃の声が上がりました。

 「のぞみ」が30周年を迎えた2022年3月には、「『のぞみ』30周年記念 300系ノスタルジックサウンド仕様」として、サウンド機能を搭載した4両編成が発売。300系のプラレールとしては初となるサウンド仕様である事はもちろん、サウンド車は新規金型となるパンタグラフ無しの中間車(325形0番代風)が採用され、こちらも「30年前の製品に新規金型車両を追加するとは」と話題になりました。肝心のサウンドは「名古屋飛ばし」で有名な「のぞみ301号」を再現したものとなり、今では東海道新幹線の東京駅の発車メロディとしてお馴染みの「のぞみチャイム」が流れる素敵な製品となっています。

 デビューから30年、引退からも11年が経った300系新幹線。過去の新幹線となって久しいですが、これからも青いレールの上では「のぞみ」として走り続けることでしょう。

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