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特集・コラム

愛と情熱で保存された鹿島鉄道の車両たち… 【最終回】小川南病院とかしてつBRT

2023.05.06

text & photo:RM
取材日:’23.3.26 取材協力:関東鉄道

 2007年3月をもって廃線となった茨城県の鹿島鉄道(石岡~鉾田・27.2km)。その廃線跡や保存車を巡る「鹿島鉄道保存車輛見学と廃線巡りの旅」ツアー密着取材レポートの第3回(最終回)です。一行は茨城空港見学・休憩を挟んでまたバスで移動し、小美玉市内の「小川南病院」へ向かい、保存車キハ432を訪ねます。敷地外からも見ることができますが、今回は敷地内からの見学だけでなく、車内にも入らせていただけました。

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第1回の記事はこちら

高齢者の憩いの場にもなっているキハ432

 ここで保存されているのが、キハ430形432。鹿島鉄道記念館のキハ431の兄弟車で、こちらはクリームと朱色の金太郎塗り分けでした。

 ロングシートの車内にテーブルを設置し、オーナーである諸岡信裕院長よりお話を伺います。この車内は、病院併設の高齢者施設利用者の普段の憩いの場でもあるそうです。

 院長は自他ともに認める筋金入りのレイル・ファン。地元ゆかりの鉄道を後世に伝えるために、この車両を引き取ったと語られました。学生時代に縁のある北陸地方出身の車両であったこともこの車両を選んだ理由だとか。

 院長のお人柄を窺わせるコレクション。最後の鉾田駅長からプレゼントされたという、全駅分の車内整理券。切符と違って非売品だけに集めるのはかえって難しいであろう一品です。

 私は本当はこれになりたかった…という院長の運転士姿。実はこれ、鹿島鉄道が舞台になった実話から制作された映画『石岡タロー』の撮影中の一コマ、つまりエキストラとして出演されているのだそう。もちろんキハ432も劇中に登場します。

旅の仕上げは「かしてつBRT」に乗車
 小川南病院を後にしたツアー一行は、小川駅バスロータリーまでバスで移動、そして「かしてつBRT」に乗り換えます。このバスは、石岡駅~四箇村駅間で鉄道の旧路盤を転用したバス専用道を走るものです。

 旧四箇村駅からのバス専用道入口。

 四箇村駅のバス待合室。

 バス専用道であることを示す看板。右手に並行する国道が見えますが、その渋滞に関係なくバス運行できるのがこのBRTのメリットです。

 ツアー一行を乗せたバスがやってきました! ちなみに小川~四箇村間は一般道を経由しています。

 バス通過時のみ上がる遮断桿が上がります。

 旧駅の痕跡が残っている部分や、新たに設定されたバスの交換施設、何より車窓としてはかつての鹿島鉄道のそのままが味わえるということで、参加者も様々に思いを馳せたことでしょう。

 バスが石岡駅に到着するとそこでツアーは終了です。丸一日、これだけテーマ性が高く密度も目いっぱい濃い鉄道のツアーは珍しいと思います。参加者の皆さんも非常に満足しておられたようです。関係各位のお取り計らいに敬意を表したいと思います!

 鹿島鉄道を懐かしいと思う方はもちろん、こうした保存車に触れることで興味を持った方にもぜひお薦めしたいのが、『RM Re-Library11 21世紀まで生き延びた茨城のローカル私鉄―日立電鉄と鹿島鉄道―』です。比較的記憶に新しい2つの今は亡きローカル私鉄を題材に、その成り立ちや各施設の紹介、そして各時代の車両も漏らさず解説しております。

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