text & photo:RM
取材日:’23.3.26 取材協力:関東鉄道
2007年3月をもって廃線となった茨城県の鹿島鉄道(石岡~鉾田・27.2km)。その廃線跡や保存車を巡る「鹿島鉄道保存車輛見学と廃線巡りの旅」ツアー密着取材レポートの第2回です。昼食を挟んでまたバスで移動した先は、小美玉市内に存する「鹿島鉄道記念館」。ここは普段は非公開で、本ツアーの第1回の時がおよそ2年ぶりの公開でした。かなり貴重な機会だと言えるでしょう。
保存車キハ431の車内で、記念館オーナーで鹿島鉄道保存会代表の加藤三千尋さんからの説明を拝聴。車両の移設にあたっては即決即断が求められ、そのためにこの記念館の敷地も極めて短期間で見繕われたという、驚かされるエピソードが披露されました。
加藤さんは地元の方ではなく、普段は東京にお住いのため、公開の機会が限定されてしまうとのこと。しかし実は廃線の数年前から非常に熱心に存続活動に関わっておられ、当時の数々のイベントの仕掛け人でもあったことが語られました。
キハ430形431は正面2枚窓の湘南型前面を持つ小型気動車。最晩年はクリーム色とグリーンの金太郎塗り分けで人気を集めた車両です。車内の網棚なども良い状態で保存されています。
ここの保存車は実に計3両。手前がキハ714形714で、夕張鉄道からの譲渡車。奥がKR-500形KR-501(同形式のトップナンバー)。2両を露天であったこの場所に静置した後、建屋を構築したそうです。
2両とも、外部からの電源を接続することでライト類を作動させることも可能な状態です。
車両だけでなく、サボ類や駅名板、気象警戒標識など、ありとあらゆるものが保存されていると言っても過言ではありません。
玉里駅上りホームの待合室がそのまま移設されていたりもします。
加藤代表曰く、「ここの展示物でもその由来の貴重さから言ったら一番かも」というバス路線図。このバス路線図は玉造町駅の待合室に掲出されていたもので、同駅舎の解体中に危うく救出したというエピソードまであるそうですが、おそらく鹿島参宮鉄道時代(1965年以前)に描かれたものではないかとのこと。
ツアー参加者に抽選でグッズ等がプレゼントされました。
さまざまなグッズにたっぷり90分浸り、この地を後にします。保存車6両中、5両を見ることが出来ました、最後の1両ではどんな出会いが待っているのでしょうか。
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