text & photo:RM
取材日:’23.3.26 取材協力:関東鉄道
2007年3月をもって廃線となった茨城県の鹿島鉄道(石岡~鉾田・27.2km)。その最後の時まで旧型気動車が多数現役で、魅力的なロケーションと共にレイル・ファンには愛された存在でした。また、地元の高校生をはじめとした精力的な存続活動が行われたことでも記憶に残っています。結果としては廃線という運命を辿ったのですが、ゆかりのあった人たちの愛と情熱により、当時9両在籍していた気動車のうち実に6両が沿線各地にて保存されているのです。
2023年3月26日、関東鉄道(鹿島鉄道の親会社)のグループ会社である関鉄観光株式会社の主催で、「鹿島鉄道保存車輛見学と廃線巡りの旅」と称したツアーが催行されました。これは昨年11月に行われた第1回が非常に人気であったために2回目が急遽企画されたもの。このツアーでないと見学できない場所などもあり、大変貴重な行程に密着取材することできました。
▲バスが止まっているのは、かつて鹿島鉄道線との踏切があった付近。
●まずはホーム・待合室が残る「秘境駅」旧・坂戸駅跡へ…
ツアーは常磐線石岡駅(鹿島鉄道の始点でもあった)からのスタート。関鉄観光バスの大型観光バス1台で、参加者はほぼ定員いっぱいの27名でした。最初に目指すのは旧・坂戸(さかど)駅。ここは元のホームと木造の待合室が廃線当時のまま残されており、また両側を茂みに囲まれたロケーションが秘境駅を思わせます(実際には集落の比較的近くです)。このエリアは今も鹿島鉄道が所有・管理をしており、普段は立ち入り禁止のエリアに特別に入らせてもらうというものです。
▲雨の中にけぶる旧・坂戸駅跡。
▲ログハウス風の待合室が良い状態で残されています。普段はもちろん立ち入り禁止となっています。
案内をしてくださったのは「鉾田駅保存会」の岡野利通さんで、お聞きしたところ、ずっとこの坂戸駅近辺にお住まいとのことで、今回のツアーに際しても地元の一軒一軒に回覧板を回して周知してくださったとか。
▲現地で案内をしてくださった「鉾田駅保存会」の岡野さん。
▲心細くなるほど木々が生い茂った廃線跡ですが、路盤部分はちゃんと整備されていて歩きやすくなってしました。
▲坂戸駅は終点の鉾田駅のひとつ手前の駅でした。茂みが開けたあたりから、鉾田駅方向を見たところ。
▲地元の方の鉄道への愛着を示すものか、踏切注意の道路標識が残されていました(標識の向きが正規とは違えてあります)。
●そのまま歩いて「ほっとパーク鉾田」へ
廃線跡巡りのあとは、そのまま徒歩で近辺にある「ほっとパーク鉾田」という入浴・健康施設へ向かいます。ここの屋外に、キハ600形601とKR-500形KR-505という2両の気動車が「鉾田駅保存会」の皆さんの手によって保存されています。このエリアは外観だけなら施設オープン時はいつでも見学可能、また車内などについては定期的に公開日を設定しています。
▲黎明期の気動車である国鉄キハ07形の貴重な生き残りであったキハ600形。特徴的な前後の流線形部分は直線的に改造されていましたが、側面窓配置や台車などに往時の面影を強く残しておりました。製造は1936年、御年87になります。
▲年季の入ったモケットシートに腰掛けることもできます(公開日限定)。
▲廃線時のままの車内の運賃表も。
▲平成時代になって増備された軽快気動車タイプのKR-505。鹿島鉄道にとって、最後に増備された車両でもあります。
▲鉾田駅の入り口を模した車両展示エリア入口。
冒頭で、「鹿島鉄道廃線時の車両は6両も保存されている」と記しましたが、まだそのうちの2両しか見ておりません。ツアーはまだまだ続きます!
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