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特集・コラム

ついに部分廃止決定…。途中で寸断され釧路・根室まで直通できなくなっている根室本線の現状とは?

2023.04.16

 2016年の台風による水害で、根室本線の東鹿越~新得間は現在も代行バス輸送が続けられています。この区間を含む富良野~新得間は、JR北海道が示す単独維持困難路線に含まれていることもあり、復旧工事が一向に行われず、放置状態が続いていました。この状況にレイルファンは、わずかな復旧の望みを賭けていましたが、それも虚しく富良野~新得間の2024年3月末での廃止が正式決定することになったのです。

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■石勝線の開通で価値が薄れた滝川~新得間

 根室本線は、函館本線の滝川から根室を結ぶ443.8kmの路線です。かつては、札幌や函館方面と帯広・釧路・根室を結ぶ重要な路線として多数の優等列車が運行されていました。しかし、落合~新得間にある狩勝峠が難所として存在すること、さらに滝川から分岐しているため、札幌や函館方面から大回りルートになることが課題となっていました。

 まず、狩勝峠については、1966年に新線が開通し、長大トンネルで急カーブと急勾配を緩和した現在のルートに切り替えられました。これにより、運行環境は改善されましたが、3大車窓と言われた雄大な十勝平野を望む車窓はスケールが失われることに…。旧線はその後、狩勝実験線として脱線原因の研究等に1979年まで活用されました。

 一方、ルートの改善も並行して進められ、1981年に千歳線の南千歳から室蘭本線の追分を経由し、夕張線の新夕張を起点に新得へ接続する石勝線が全線開通。これにより、それまで滝川経由で運転されていた帯広・釧路方面の特急列車は石勝線回りに変更され、所要時間の短縮が図られました。

 以上の経緯から、根室本線の滝川~新得間は特急列車の運行ルートから外れることになり、石勝線のバイパスとしての役割はあったものの、沿線人口の減少もあって存在意義が年々低下。そこに追い打ちをかけたのが2016年の台風による災害でした。

▲トマムを経由する石勝線。ここから隣の新得のまでの間に根室本線と合流し、十勝平野へと下りていく。

▲新線はなだらかな丘を経由する。ヘアピンカーブはこちらも健在で、難所であることに変わりはない。

 

■現在の富良野~新得間の状況

 2023年4月現在、富良野~東鹿越間は1日4.5往復、代行バスの東鹿越~新得間は4往復が設定されています。実際に富良野→東鹿越→新得の行程で現状を見てきましたので写真でご紹介しましょう。また、動画も公開していますので、訪れる際に参考にしていただければと思います。 

▲富良野駅から新得方面を見る(左写真)。東鹿越行きの車両はキハ40の単行(右写真)であった。2両編成での運行も存在する。

 

▲この日の車内は、1ボックスに1人程度の乗客であった(左写真)。山部、下金山、金山と停車していく(右写真)。

 

▲かなやま湖の畔にある東鹿越駅に到着。ここで代行バスに乗り換える。路線バスの定番であるツードア車ではなく、観光バスタイプが運行している。

 

▲ほぼ乗客全員が代行バスに乗り換えて新得を目指す。途中、幾寅、落合と停車し、途中サホロリゾートホテルを経由して新得に到着する。幾寅駅は、映画「鉄道員」で使用され、映画に登場したキハ12風のキハ40 764が保存されている。

 

■かつては雄大な車窓が繰り広げられた大パノラマの狩勝峠

 当時を知る世代の方やレイルファンであれば、狩勝峠の旧線を煙をモクモク巻き上げながら走るSLの姿を、リアルタイムまたは写真で見たことがあることでしょう。先述の通り、三大車窓に数えられるこの峠は、十勝平野を一望できる根室本線を象徴する区間でしたが、ルート変更された現在の新線は丘を走ることと、防雪柵が設置されていることもあって、車窓のよさは大分失われました。しかし、皮肉なことに代行バスが走る国道は見晴らしが抜群な上、比較的旧線に沿ったルートを通ることもあり、その痕跡を見て楽しむことができます。車やバイクであれば自由が利くので、オメガカーブと急勾配で峠を克服していた旧線の険しさを、よくわかる場所から間近で体感することが可能。「旧線を体感」しに現地を訪れてみるものいいですね。

▲代行バスからの眺め。十勝平野が一望できる。旧線もすぐ近くをこの高さまで登ってくる。

 

▲新得からしばらくは新線(奥のコンクリート橋)と旧線跡(手前の鉄橋)が並走し、新線はやがて奥に消えていく。旧線の路盤跡はしばらくの間、代行バスから確認することができる。

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詳しくは動画でもご紹介↓↓↓

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