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鉄道をイメージする際、多くの人が「連なって走る」姿を思い浮かべるのではないでしょうか。大量の人や荷物を効率よく運ぶために、場所や用途に合わせて車両を連結して走ることは、鉄道らしさを表す重要なファクターのひとつです。
特に先頭車同士が連結している様には、熱狂的なファンでなくとも目が行ってしまうことがあるのではないでしょうか。
そこで今回は、「連結」シーンが見られるポイントをご紹介していきます。
・連結にも種類がある
「連結」という言葉は知っていても、いくつかの種類があって、その仕組みがちがうことはご存じでしょうか。ここでは代表的な「自動」と「密着」について、その違いを簡単にご紹介します。
「自動連結器」は、その名のとおり自動的に連結できる装置ですが、それは連結器同士を押し当てるだけで作業が完了することを意味します。具体的には、手で“コの字”を作ったような形のナックルが噛み合うと、同時に錠がかかって固定される仕組みとなっています。
続いて「密着連結器」を見ていきましょう。写真で分かる通り、まずは装置そのものの形が大きく違います。密着連結器には突起がついていて、それを相手側の穴に差し込むことで連結します。この突起には「回り子」というロック装置がついていて、がっちりと固定することができます。握手をするように連結する自動連結器に対して、密着連結器はコンセントのようなイメージでしょうか。
「連結」という言葉でひとくくりにしてしまいがちですが、編成を運行中に連結することは「増結・解結」と表現することがあります。また、2系統の編成が連結することで1つの編成として走ること、またその編成が切り離されることを「分割・併合」という場合もあります。
・各地で展開される連結シーン
連結して走る新幹線として有名な東北新幹線「はやぶさ」と秋田新幹線「こまち」は、盛岡駅で分割・併合を行っています。連結器カバーを開けて待っているE5・H5系のもとにE6系がやってくる様子は、特に鉄道好きの子どもたちにとって人気のシーンです。
「こまち」が連結器カバーを開けて入線。「はやぶさ」もカバーを開けて待機しており、連結作業を行います。
また、福島駅では東北新幹線「やまびこ」と山形新幹線「つばさ」が分割・併合を行います。E4系が現役時には「とき」や「たにがわ」など、E4系2編成による連結が人気でしたが、2021年の引退でその光景を見ることはできなくなってしまいました。
東京駅では「成田エクスプレス」の分割・併合シーンが展開されています。新宿方面からやってくる列車と大船方面からやってくる列車が、東京駅で1つの編成となるのです。
また、阪和線の日根野駅では、和歌山発着の紀州路快速と関西空港駅を発着する関空快速の分割・併合が、予讃線多度津駅では、「しおかぜ」と「いしづち」、「南風」と「うずしお」などの分割・併合シーンが展開されています。
一方、横須賀線や高崎線など、駅設備の関係などで15両編成が走れる区間が限られている路線もあります。例えば横須賀線は逗子駅で、高崎線は籠原駅で付属編成の増解結が行われます。
いかがでしたか? 「駅員さんによる巧みな誘導」「連結する瞬間の音」「車両の顔同士が向かい合う姿」などなど、見る人によって感動ポイントは異なるでしょうが、連結作業はいつの時代も私たちをワクワクさせてくれる魅力があります。
安全やマナーに配慮しつつ、これからもその楽しさを満喫したいものです。
なお、連結シーンを見ることができるスポットはほかにもありますので、それぞれギャラリーでご覧ください。
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