text:鉄道ホビダス編集部
‘12.3.18 富士急行大月線 寿〜三つ峠 P:笹本 晃
(鉄道投稿情報局より)
1985年に国鉄初のステンレス製の車両として製造された205系電車。国鉄時代に山手線へ集中投入されたのち、分割民営化後もJR東日本と西日本のそれぞれで量産が続けられた通勤型電車です。
ですが、近年では車齢も高くなってきたことから置き換えが進行。JR東日本エリアでは鶴見線の他南武支線と仙石線でのみの活躍となってしまいました。そんな205系ですが、今もなお富士山麓にて、しかもかなりの初期車が走り続けています。今回は私鉄へと渡った元205系について見ていきます。
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■元・205系!富士急6000系の前日譚
‘12.12.5 富士急行大月線・河口湖線 富士山 P:RM
(鉄道投稿情報局より)
2012年、205系を改造した3両編成のローカル通勤電車が富士急にて運行開始されました。それが今回紹介する「6000系」です。現在運行されているこの6000系は車両の出自の違いから大まかに3種類に分けられます。まず一つが量産先行車ベース・上段下降下段上昇式2段窓の所謂「田窓」を備える6000番代、そして205系量産車ベース・1段下降窓を持った6500番代、さらに元八高・川越線で運行されていた先頭化改造車の3000番代をベースとした6700番代の3種です。
6000番代は全車が京葉線から。6500番代は1本が京葉線、もう1本が埼京線。6700番代は全車が八高・川越線からの車両となります。そして興味深いのが、意外にも初期の車両が多く存在しているという点でしょう。6000番代は量産先行車であることから言わずもがな最初期の車両ですが、それ以外の編成も埼京線由来となる6502編成以外全て国鉄時代に落成した車両で構成されている点は注目しておきたい所でしょう。
そして転属歴も複雑な各編成ですが、奇遇にも富士急6000系の全車が205系発祥の地山手線での運行実績があるというのも特筆すべき点です。特に6000系唯一の「JR生まれ」となる6502編成は、正式な転属ではなかったにせよ、山手線6ドア車組み込みのための予備車として、浦和電車区から山手線へ貸し出されたという珍しい経歴の持ち主。そんな車両が、今もこうして活躍を続けているのはレイル・ファンとしては見逃せないポイントでしょう。
■ラッピングから形態差まで!6000系を楽しむ
’21.3.27 富士急行 河口湖線 河口湖 P:木村公一
(鉄道投稿情報局より)
富士急6000系は、導入時より水戸岡鋭治氏による内外装デザインとなっており、内装を中心にJR時代とは大きく印象が変わっています。
さらにそれだけではなく、6000系の一部編成にはさまざまなラッピングが施されています。紅白のカラーリングが印象的な6501編成「マッターホルン号」や、富士急行線の開業90周年を記念したラッピングを施した6701編成など、205系時代では見られなかった色彩豊かなカラーバリエーションが楽しめるのも同車の魅力の一つと言えます。
そして先述の通り、各車さまざまな出自、転属歴を持った編成が集まったことからその形態差も見逃せません。貴重な「田窓」を持った量産先行車、山手線を中心に標準的だった1段下降窓・ドア小窓の量産車、先頭化改造で生まれた前面を持った編成、JR化後に製造されドア窓が大型化された編成など、東日本に存在したさまざまな205系のバリエーションの一部を、今もなお見ることができる貴重な路線となりました。
■見えてきた車齢40年 今後は…?
腐食に強いステンレス車体を持った205系といえど、いずれの編成も車齢はとうに30年を超え、多くを占める初期型車はまもなく40年の大台が見えてきています。走行機器類もオリジナルの界磁添加励磁制御を維持している上に、富士急行線での運行開始からもすでに10年以上が経過。今や貴重になってしまった「国電」に新宿から特急で1時間の場所で会いに行けるのも今のうちなのかもしれません。
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