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【見分けはつかぬがひと味違う】東武3000系列の最終グループ「3050・3070系」に迫る

2023.04.01

 昭和期の戦前から戦後にかけて製造され、種々雑多な形態を持っていた236両の電車の車体を10年掛けて新しいものに交換し、統一された外観になった東武鉄道の3000系列。これまで本サイトでは、RMライブラリー『生まれ変わった東武旧型電車』発刊に合わせて、さまざまな角度からこの3000系列車両について取り上げてきました。

 今回は3000系列236両のなかでもひと味違う、3050・3070系について取り上げてみましょう。

    ▲3050・3070系とは、簡単に言ってこんな電車。左上の旧型車は3050系の種車のひとつ。これらの車両が車体を作り替えて3050・3070系となった。左下前方が最初の色、その後ろに連結されているクリーム色が2番目の色、そして右2枚の白地にブルーの帯が晩年の塗色。

出典:『RM LIBRARY 273 生まれ変わった東武旧型電車(下)』

 

 戦前・戦後に生まれたさまざまな旧型電車の主要機器を流用し、新しいデザインの車体に統一した東武の3000系列ですが、改造の時期や種車により3つのグループに分かれています。

 まずは、1964~71(昭和39~46)年にかけて改造された主電動機97kWの3000系(134両)、次に1971~73(昭和46~48)年に改造の主電動機110kWの3050系(68両)、そして1974~75(昭和49~50)年に改造の主電動機110kWの3070系(34両)となります。

 

▲これらの車両が3050系。素人目には3000系との違いはほとんどわからないが、窓や台車などに違いが見られた。

出典:『RM LIBRARY 273 生まれ変わった東武旧型電車(下)』

 

▲その種車となった54系と呼ばれる車両群。出力が強化されているとはいえ、主に戦前製でいかにも「昔の電車」といった外観である。

出典:『RM LIBRARY 273 生まれ変わった東武旧型電車(下)』

 

 3050系の種車となったのは、主電動機110kWのモハ54系と呼ばれる車両群で、なかには戦後に運輸省規格型車体で登場した、いかにも通勤電車といった外観の3扉車も含まれました。電動車はすべて昔ながらのイコライザー式の台車を履いていましたが、制御車の一部にはウィングばね式のものも含まれました。

 3050系は1996(平成8)年まで東武線で活躍、一部の車両は上毛電鉄に譲渡されて2000(平成12)年まで活躍しました。

 

▲これらの車両が3070系。やはり3000系や3050系との違いは一見してほぼわからない。

出典:『RM LIBRARY 273 生まれ変わった東武旧型電車(下)』

▲その種車となった53系と呼ばれる車両群。特急用として製造された2扉車が主体で、風格ある車体を見せていた。

出典:『RM LIBRARY 273 生まれ変わった東武旧型電車(下)』

 

 3070系の種車となったのは、こちらも主電動機110kWのモハ53系と呼ばれる車両群。特急用として使われていた車両で、制御器の関係から従来の3000・3050系と連結しての運転はできませんでした。改造当初は5000系と呼ばれていましたが、後に20m級の7800系列をやはり機器流用・新製車体で更新する際に5000番代の形式を使うことになり、3070系に改番されました。

 3070系は1996(平成8)年まで東武線で活躍、一部の車両は野岩鉄道への乗り入れにも用いられましたが、3000・3050系のように上毛電鉄に譲渡された車両はありませんでした。

 こうして戦前生まれの元特急クロスシート車や木造客車の鋼体化車、戦後の運輸省規格型車、元戦災国電、特急車など、種々雑多な旧型車236両が約10年をかけて生まれ変わった3000系列は、支線区の活躍を終え、21世紀を目前にして姿を消していったのでした。

■RMライブラリーの第273巻『生まれ変わった東武旧型電車(下) -3000系列ビフォー・アフター-』が好評発売中です。本書では1996年まで活躍した3000系列について、更新後の姿だけでなくその改造種車となり消えていった旧型車両の在りし日の写真を多数掲載し、貴重な記録として後世に残します。中巻では3000系に生まれ変わった、主に戦後製の旧型車両の紹介や3000系列全体の台車紹介などを含め、改造種車となった車両の在りし日の写真を多数掲載します。

■著者:稲葉 克彦(いなば かつひこ)

■B5判/56ページ(うちカラー8ページ)

■定価:1,485円(本体1,350円+税)

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