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特集・コラム

ここには“時速500キロの世界”がある! 超電導リニアの体験型博物館を訪ねてみた!

2023.03.10

展示物や館内の様子はこちらでも!

 「時速500キロ」を想像できる人はどのくらいいるのでしょうか。通過していく新幹線をホームで見た経験がある人は多いでしょうが、2倍近くの速度となると、やはり別物と言ってもいい体感速度です。

 今回は、思いのほか気軽に時速500キロで走る車両を見ることができる施設をご紹介します。

 「山梨県立リニア見学センター」。
そう、精力的に試験を続けている超電導リニアの走行試験を見学できるだけでなく、様々な展示物を通じて、見て・学んで・体験できる博物館です。

 施設に最も近いのは富士急行の禾生駅ですが、今回はJR大月駅より向かうことにしました。なお、駅前から富士急行路線バスが出ているので、それに乗れば15分ほどで着くことができます。

 さて、バスを降りて見学センターに向かって歩いていると、「シュゴーッ!」という音がどこからともなく聞こえてきたと思えば、あっという間に遠ざかっていきます。そう、これは走行試験の音で、館内に入る前からすでにその雰囲気が伝わってくるので、自然とテンションが高まります。

 リニア見学センターは、「どきどきリニア館」と「わくわくやまなし館」で構成されていて、それぞれの楽しみ方ができるのが特徴です。

 

 

・本物の車両がもたらすファーストインパクト

 まずは「どきどきリニア館」へ向かいましょう。1階の入場口より足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのが本物の試験車両「MLX01-2」。鉄道の世界最高速度(2003年当時)時速581キロを記録した車両で、現在走っているL0系の先代にあたります。

 話は少し戻りますが、どきどきリニア館は3階建てで、各階で展示のコンセプトに変化がつけられています。ちなみに1階のテーマは「リニアを学ぶ」。

 まず「リニアとは何ぞや?」という疑問を、本物の車両や模型を駆使して紹介してくれるというわけです。なお、展示車両は車内にも入ることができるので、新幹線との違いなどをぜひ確認してみてください。

 また、走行試験が見学できるスペースは各階に設けられていますが、1階で体感したいのは地上階ならではのスピード感。写真を撮ろうと試みましたが、500キロは伊達ではありません。撮影は2階から上で楽しむとして、ここではご自身の目でその迫力を味わうことをおすすめします。

 

 

・「ああ、そういうことなんだ!」

 続いて2階に上がりましょう。こちらのテーマは「リニアを体験する」となっていて、リニアの仕組みを自ら操作しながら理解できるよう仕立てられています。頭では理解しているつもりでも、レバーやハンドルを操作することでより実感できるので、やはり体験することが大切なんだと実感します。

 また、磁力浮上、磁力走行を体験できるミニリニアもぜひ乗車したい展示物です。近距離ながら浮いている感覚が味わえるのは貴重な経験と言えるでしょう。
 もちろん2階にも走行試験の見学スペースがあります。「屋外見学テラス」と名付けられているだけあって、ここで味わいたいのは音や空気の流れです。入館前に音がしたと書きましたが、すぐ目の前だけにやはりその迫力はケタ違い。それでも、空気を切り裂きながらあれだけの速度で走っていることを考えると、空気抵抗を最小限に食い止めるための工夫が施されていることが想像できます。

 

・目で、耳で。五感をフル活用して体感しよう!

 「山梨の未来が見える」というテーマが掲げられた3階は、大型ジオラマと体感型シアターを中心とした構成です。

 リニア新幹線開通後を再現した大型のジオラマは、そのまま眺めているだけでも細部までの作り込みに驚かされますが、毎時3回のペースでリニアや鉄道が動くショーが開催されているので、ぜひこちらもお見逃しなく。

 また、「リニアシアター」では、山梨県の交通発達の歴史から、時速500㎞の世界を体感できます。途中、走行の様子が流れますが、映像と振動が連動していて、乗車の疑似体験ができるのもうれしいところ。
 3階にも走行試験を見学できるラウンジがありますが、ここのポイントは「見通しの良さ」と言えるでしょう。約40メートルにわたって見渡せるため、写真も撮りやすいと思います。

 

・「帰る前にお土産を」だけではない、もう一つの建物

 「どきどきリニア館」で超電導リニアの世界を存分に楽しんだら、隣接している「わくわくやまなし館」に立ち寄るのもお忘れなく。1階ではここでしか購入できないリニアグッズや山梨県の各種お土産が販売されており、グッズから山梨の銘菓までその種類はとても豊富です。

 また、3階は見学ラウンジになっていて、「どきどきリニア館」とはまた違った角度で走行試験を見ることができます。スタッフの方に伺ったところ、「橋を渡る車両を撮るならここがいちばん撮影しやすいですよ」とのことなので、旅の締めくくりに立ち寄るのをお忘れなく。

 さて、いかがでしたでしょうか。超電導リニアの開発や試験が進んでいることは報道などで見聞きすることもあるでしょうが、「まだまだ身近な存在ではないな」と感じている方もいるかもしれません。

 鉄道の新しい世界を体感しに、ぜひ訪れてみてください。

走行試験は行われない日がありますので、訪問の際は下記のHPで予定を確認しましょう。

山梨県立リニア見学センターHP

展示物や館内の様子はこちらにて!

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