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特集・コラム

新幹線試験車から新交通システムまで作れる?変幻自在の3Dプリント鉄道模型とは?

2023.02.22

 かつて、製品化されていない鉄道模型車両は、手作業でプラ板から製作する「フルスクラッチ」や既存車両を改造する手段が主な方法でありました。ですが、手作業が故に基礎的な技術のほか、長編成になるほど同じ車両を一定のクオリティで作り続けなければならないなど、そのハードルはテクニック面でも精神面でも低いとは言えないものでした。
 ですが、近年普及しつつある「3Dプリンタ」を活用して、ゼロから鉄道模型の車両を製作できるようになってきました。もちろん3D-CAD(3Dの設計データ)での作図技術や、崩れないように出力するためにサポート材や向きに気をつけたりと、3Dプリントならではのテクニックは要求されます。ですが、手作業の頃と比べて段違いに効率や完成度といった面で違いはハッキリしています。今回はそんな3Dプリンタで出力されたNゲージ鉄道模型の作品を2つご覧にいれましょう。

■KATOのE5系をベースにE956形「ALFA-X」を作る!

modeling:永井幸輝
photo:羽田 洋

 2019(令和元)年から試験走行を始めたJR東日本の新幹線高速化試験車、ALFA-X。試験車らしく、上り方と下り方で先頭形状が異なるこの車両を、KATOのE5系をベースに3Dプリントも活用して再現しました。

 3Dプリントした部品はアクリル素材のため、瞬間接着剤を用いて組み立てます。継ぎ目には瞬間カラーパテを塗り、Mr.ポリッシャーにて研磨することでツライチに仕上げました。同時に積層痕も消すため、400番程度の粗目の耐水ペーパーをポリッシャーにつけて作業を行ない滑らかにしました。1号車はプラグドアを採用しているため、ベースのE5系から先頭部を切り継ぎ製作。10号車は逆に客室部分が極端に短く、種車のE5系の10号車はグランクラスであり窓ピッチが異なるため、屋根部分以外はすべて3Dパーツを組み立てることで実車同様の車体を実現しました。またALFA-Xの大きな特徴のひとつである4~6号車のパンタグラフの準備工事ですが、こちらも3Dパーツを利用して再現しています。

 続いて塗装で、サーフェイサーは隠ぺい力の高いガイアノーツの「サーフェイサー エヴォホワイト」使って傷の最終確認を行ない、帯のエメラルドグリーンを塗装。次に屋根上の空力ブレーキを再現するための黄色を塗装し、そのあと空力ブレーキ部分をマスキングした上で屋根全体にグレーを吹き付ける、といった手順。車体の銀塗装は屋根上と帯をマスキングして行ないました。上の帯は0.5mm、下の帯は1.0mmのマスキングテープを貼り付け、ロゴマークや上下交差でXになっている部分はトレジャータウンの細切りテンプレートを使用して切り出してマスキングして再現しています。最後に銀塗装を侵さないクレオスのスーパークリアーで仕上げをして完成です。

大変身!3Dと製品を融合し完成した「ALFA-X」の詳しい作品記事はこちら!

■なかなか模型化されない新交通システムをNスケールモデル化!西武鉄道山口線8500系レオライナー!

modeling:永井健太
photo:根本貫史(RMM)

 その特殊性からなかなか鉄道模型として製品に恵まれることが少ない「新交通システム」の車両ですが、ここでは西武鉄道山口線で活躍する8500系「レオライナー」を3D出力で再現しました。
 走行モデルではなく完全なディスプレイモデルではありますが、その分しっかりと実車同様のディテールを持っており、ゴムタイヤの車輪なども忠実に再現されています。
 車体は妻面以外は一体成型で出力しています。レジンは「WANHAOグレー」を使用し、プリンタも改造前の「Shuffle 2018」を使用したため、低解像度故のモールドの甘さにかなり苦労しました。車体色はGSI クレオスのグランプリーホワイトを使用し、帯はハイキューツールのデカール用紙にカラー レーザープリンタで印刷したものを転写しています。白文字と編成マークはMDプリンタによ る自作インレタを使用しています。

 さらにディスプレイ用に専用軌道も再現。出力は「DMM.make」のナイロン製で、直線とポイントの2種類を製作し変化を付けました。ナイロン製だと、質感が少しザラザラした感じになりますが、ここではその素材の質感を逆手に取り、新交通システムらしいコンクリート製走行路の質感表現としているのもポイントです。ガイド部分はエバーグリーンのH材を赤く塗装したものを取り付けて再現しています。

新交通システムをNゲージモデル化!レオライナーの製作記事はこちら!

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