text & modeling & photo:根本貫史(RMM)
鉄道模型工作の中でも塗装のウェイトは高く、仕上げの出来、不出来に関わるだけに重要な工程です。一方で塗装済完成モデルの多くなった今日においては、塗装自体の工作を楽しむよりも、細かな個所への色入れやウェザリングの加工も個性的なモデル作りの近道となっています。今回はこのフィニッシュ作業に重点を置き、その中でも極力製品の塗装やディテールを活かす部分塗装(タッチアップ)や、インレタ・パーツの追加、ウェザリングといったフィニッシュワークについて詳しく解説します。
■「新車」をイメージしたフィニッシュワーク
2017年3月25日に有料座席指定列車「S-TRAIN」としてデビューした西武鉄道40000系。実車デビューと同時にKATOから製品化され、共に話題を呼びました。製品は従来の通勤型車両とは一線を画した実車の特徴を忠実に再現しており、特に前面・側扉のグラデーション表現も精密な印刷で美しく表現されています。
今回の作例は「新車らしさ」をテーマに加工してみました。
■車両加工の基本はまず分解から
車両工作をする際、「分解」は必ず通る道です。もちろん分解せずにできる軽加工もありますが、製品の部品構成を確認するのは、加工プランを練る際にも重要となります。特に床板・台車を塗装する場合は、走行・集電性能にも影響する部分なのでしっかり分解しましょう。
↓手順を追った詳しいタッチアップ解説はこちら!↓
■懐かしの赤電! 西武701系(非冷房)をタッチアップ
西武の最新鋭車両から打って変わって西武「赤電」時代の代表的形式である701系を加工します。今回使用したのはKATOから製品化された赤電色の非冷房時代のモデルで、新性能車ながらクハは旧性能時代のTR11台車を履く比較的初期の姿(昭和40年代後半)を再現しています。基本構成は既発売の旧101系に準じていますが、フライホイール付動力の搭載やスナップオン式のトレーラー台車などを装備した、現行水準に近い仕様になっています。
■台車交換とアンテナ装備で非冷房末期の姿を再現!
この製品は昭和40年代後半の姿を再現していますが、1969(昭和44)年から開始されたクハの台車交換(FS072)と、1975(昭和50)年から取付が始まった列車無線アンテナを装備することで、非冷房末期の姿が再現できます。パーツは旧101系等のものが使えますが、特に台車は今回よりスナップオン式となったため、ボルスターの加工が必要となります。
■ウェザリングなようでそうじゃない…「ウェザリング」的な塗装表現
模型に質感や経年を表現する「ウェザリング」。技法としては本特集の後半で詳しく紹介しますが、ウェザリングに自信がない場合や、そもそも汚すことに抵抗のある方は、「塗装」で簡易的に表現する方法もあります。 技法はいたって簡単。床下の場合は台車や床下機器を塗装するのと全く同じ手順で、使用する塗料を床下色から、汚れをイメージした「茶系色」に変えるだけです。普段の塗装技法だけで簡単に「ウェザリング」風味に仕上がります。
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※こちらの記事は『RM MODELS 265 2017年9月号』の記事から抜粋しており、一部情報は当時のものとなります。あらかじめご了承ください。