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特集・コラム

懐かしのアナウンスが聞けるプラレールの駅!?「サウンド」が語る90年代の駅情景。

2022.12.16

text & photo:なゆほ

 60年以上の歴史があるプラレールの製品・歴史・情報をまとめ、自身のホームページ「プラレール資料館」で公開しているプラレールコレクター なゆほさん の鉄ホビ連載!長い歴史を持つプラレールというおもちゃをコアな目線から語っていただきます!今回はプラレール製品の中でも「音」に着目した初期の製品を紹介。発売された時期の鉄道駅をモデルにしており、その時代の駅の雰囲気を色濃く感じることができるのもまた魅力のひとつと言えるでしょう。(編集部)


 今や普通となった「音の出る駅」というプラレールの情景部品。最初期は駅に組み込まれたベルを車両からの動力伝達により物理的に鳴らすような単純なものでしたが、1987年に画期的な商品が発売されました。今回はその「駅」の新旧製品から、令和の時代から見ると懐かしさを感じる「サウンド」と、駅の情景について見ていきたいと思います。

↓「サウンド」系情景部品の元祖!画像一覧はこちら!↓

■規格化された情景部品シリーズ

 本題に入る前に、まず取り上げるべき製品があります。レールは当初から規格化されているプラレールですが、情景部品はあまり規格化されているとはいえず、結構バラバラでした。もちろん、情景部品の中でも一貫して同じスタイルを採用し続けるものもあり、「架線柱」や「立木」に使われる台座などの小物類はプラレールの初期からほとんど変わりません。
 1984年、レイアウトの幅を広げる新製品「ブロック橋げた」が発売され、縦方向にレイアウトを組む遊び方が増えました。続いて1986年に「パネルステーション」が発売され、これもまたブロックのように自由に組み立てられる拡張性のある情景部品としてしばらく定着する事になります。この「パネルステーション」の規格を利用していくつかの製品が誕生するのですが、それが今回取り上げる「おしゃべりステーション」と「アナウンスステーション」です。

▲1987年発売の「おしゃべりステーション」と、1996年にリニューアル発売された「アナウンスステーション」

 1987年7月に発売された「おしゃべりステーション」は、その名の通りプラレール史上初の「喋る」情景部品で、単三電池1本を使用します。駅舎内にミニレコードが内蔵されており、屋根にある6つのボタンを押すとそれぞれに対応した6つの放送が流れるようになっています。電池は駅舎上部に入れる形となっており、別パーツの屋根が電池蓋を兼ねるというなかなか考えられた構造をしています。

 あくまでもボタンと連動してレコードが再生する簡易的な機構なので、針が飛ぶと押したボタンとは別の放送が流れてしまうという、古いおもちゃらしく微笑ましい動作もこの情景部品の特徴と言えます。ちなみに音声は当時の首都圏の駅で使われていた「ユニペックス型」を参考したのか、少し似ている気がします。

▲発車・停車は上のボタンのホーム側、一番左とその隣で操作する。通常のストップレールとは違う操作性が斬新だった。

 流れる放送は箱裏面に記載されています。駅の放送なので基本的には現在と変わりませんが、「ただ今当駅は禁煙タイムです」と「白線の内側にさがってお待ちください」の2つには時代を感じてしまいます。「おしゃべりステーション」の発売当時はまだホーム上の所定の喫煙コーナーでなら喫煙が可能で、時間によって禁煙・喫煙可能が分けられていました。そしてこの頃はホーム端に黄色の点字ブロックを設置している駅もまだ少なく、大多数の駅には「白線」が引かれていました。さすがに子供のおもちゃなので喫煙コーナーの再現はありませんが、「白線」は当時のJRの駅で一般的だった破線状のものがホーム上にモールドで表現されています。

▲駅舎の表現にも時代を感じる。改札口は有人、券売機は窓口と自動券売機が横並びになっている。

 ホーム側の線路側には付属の柵を設置できる突起があり、他の駅を使えば都会にある相対式の駅のような風景を作ることができるようになっています。駅名看板は選択式で、「東京駅」のステッカーを基準とし、「札幌駅」「大阪駅」「仙台駅」「名古屋駅」「盛岡駅」のいずれかを選択できます。当時の東北新幹線の終点だった「盛岡駅」があるあたり、やはり時代を感じる情景部品ですね。

 駅舎前面とホーム側にそれぞれ発車標が設置してあり、ここにも懐かしの列車名がこれでもかと記載されています。駅舎側は「ひかり21号 博多行 6:00」「こだま211号 大阪行 7:43」の2つで、それ以外はプラレール関連の広告。ホーム側は「ひかり24号 東京行 10:35」「あさま56号 上野行 16:15」「やまびこ27号 盛岡行 15:00」「ゆうづる9号 青森行 23:05」「こだま211号 大阪行 7:43」「雷鳥31号 金沢行 17:05」の6列車が用意されています。

 プラレールの情景部品とレールは1988年に商品番号が振られるようになったため、同年以降「おしゃべりステーション」にはJ-27が付番されています。なお、この記事で紹介している個体は1987年7月の発売当初のもので、現行品に近い装いの箱ですが付番が無いという大変珍しいものです。比較的大型なギミック系情景部品としては長く発売され続け、1995年に絶版となりました。こうして一時は店頭から姿を消した「おしゃべりステーション」ですが、1996年に復活を遂げます。

▲1996年に改良の上発売された「J-31 アナウンスステーション」

 1996年9月、「おしゃべりステーション」をリニューアルした新製品「アナウンスステーション」が発売されました。見た目は色が変わった以外ほとんど同じですが、時代の流れに合わせた仕様変更が随所に見られるのが特徴です。

 まず、駅舎に内蔵されていたミニレコードは電子基盤に置き換わり、ボタンと音声が連動するようになりました。これにより「おしゃべりステーション」であった押したボタンと違う音声が流れるといった不具合は解消されています。そのほか電子基盤への置き換えに伴い消費電力が上がったため、単三電池2本使用に変更。駅舎内にスペースが生まれたので、電池ボックスは駅舎裏に移動され、安全性の向上のためネジ留め式の蓋が付きました。また、電源スイッチも追加されています。屋根上のボタンは音声のみのものだけ浅いボタンとなり、停車・発車のボタンは先代同様の出っ張ったものになったことで視覚的に何を押せば何が動くのかを分かりやすくしています。

 面白いところでは、先代では「ただ今当駅は禁煙タイムです」となっていた放送が「当駅は終日禁煙です」に変わりました。大人になった今だからこそちょっとニヤッとする改良点です。

 発車標にも時代に合わせた変更が加えられています。駅舎側は「北陸新幹線のりば」「特急スーパービュー踊り子号 東京行き」「特急成田エクスプレス 成田空港行き」「特急富士 南宮崎行き」と広告・天気予報。ホーム側は新幹線で統一され、「のぞみ 博多行き」「ひかり 岡山行き」「こだま 新大阪行き」「つばさ 山形行き」「Maxやまびこ 盛岡行き」「あさひ 新潟行き」の6種類になりました。

 駅舎のイラストを見ると、切符売り場は全自動化、改札も自動改札が導入されており、「おしゃべりステーション」発売時の1987年からずいぶんと世の中が変わったことが分かります。駅名看板はデザインが変わった以外はほぼ同一ですが、「大阪駅」が「新大阪駅」に、「名古屋駅」「仙台駅」が無くされ「博多駅」「新潟駅」になっているのが面白いです。

 しかしこの「アナウンスステーション」、改良を加えたとは言え大元は1980年代のギミック情景。電子基盤を採用しているわりには音声が6種類しかないという点など、時代遅れ感が否めなかったのか、発売から2年後の1998年に絶版となりました。それでも「駅放送が楽しめる情景部品」というコンセプトはやはり魅力的で、1999年には「アナウンスステーション」の音声データを流用してマイク遊びなどを追加した大型情景「僕も今日から駅長さん」が発売されたり、2000年代の「日本全国アナウンスステーション」「地下グランドステーション」などのサウンド付き大型情景に発展していくことになります。

 2022年現在では「J-13 サウンド駅」が同様のコンセプトを持つ単品情景として発売中です。プラレールの世界に「サウンド」の概念が導入されてから約35年。6つの音声から始まった「サウンド」は今でもプラレールに彩りを与えています。

↓「サウンド」系情景部品の元祖!画像一覧はこちら!↓

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