modeling & photo & text:根本貫史(RMM)
Nゲージのプラットホーム製品は、各社から様々なタイプが発売されていますが、グリーンマックスのプラットホームキットは今なお愛され続けているロングセラー製品です。完成品が数多く製品化されている中、加工が容易なキット形式のこの製品は、形状や時代設定にこだわって製作したい方には最適な形態です。しかも30年以上前の製品だからこそ味わえる独特の昭和らしいホームの佇まいが、時代設定を再現するにもピッタリです。今回は対向式ホームを例に、2つの時代設定を意識してキットを製作してみました。
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■プラットホームキットの基本構成…キットならではの利点とは?
グリーンマックスのプラットホームは、側壁に天板を接着し、その上に上屋を組み立てるという非常にシンプルなもので、いずれの製品も基本構成は同一です。製品自体が古いため少々バリが多いですが、バリをカッターナイフやヤスリで丁寧に除去すれば、基本的な部品同士の合いも良好なので、誰でも簡単に組むことができます。 製品は未塗装キット形式なので、組立や塗装が面倒という理由から躊躇している方もいるかと思います。しかし、キットならではの利点も多く、特に完成品で満足いかない方や、自分がイメージしている実物の駅の雰囲気を忠実に作り込みたい方には特におすすめです。
このホームのように、板状のストラクチャーキットは、板状の車両キットと同様、切り継ぎに容易に取り組めます。特にストラクチャーということで、接合部の仕上げは車輌キットのように神経質になる必要もないでしょう。場所によっては壁の接合部の隙間を支柱や雨樋といった構造物で隠すという方法(ごまかし?)も考えられます。切り継ぎ初心者の方は、練習だと思ってまずは垂直に屋根や側壁を切断、そして接合できるように練習してみると良いでしょう。
■対向式ホームの側壁に変化を付ける
製品の側壁はモールドを見る限り、下部がコンクリートブロックで、窓廻りはモルタルパネルをはめ込んだ構造のようです。ホーム側の壁面をよく見ると、モルタルとブロックの境界にカットしやすいように他のモールドより深い溝が入れられています。そこを境にカッターナイフでモルタルパネル部分を撤去することで、ブロックのみの側壁にすることができます。この表現方法は製品の説明書にも解説されていますが、例えばホーム端部のみブロックのみの表現にしたり、さらに屋根も端部のみ撤去することで、単調な窓割の側壁に効果的な変化を付けることができます。
■アソートセットの小型駅の配置にも変化を付ける
この対向式ホームを作る際は、駅舎の配置も深く関係してくるので、ここでは小型駅の配置についても触れてみましょう。 アソートセットに付属する小型駅は、この対向式ホーム専用の構造になっています。製品通りに配置すると、ホーム端部に駅舎がくるようになりますが、作例ではちょっと変化を付けて、駅舎側にも1両分ホームを延長してみました。使用したホームはTOMIXのミニホームセットで、ホームの高さも対向式ホームと同寸です。
●覚えておくと便利!色をまぶしてコンクリートの質感を表現する
コンクリートの壁やブロックを表現する場合、単純に灰色の濃淡で塗装するのではなく、スプレーを上からふり掛けるように吹き付けて色をまぶしていくと、リアルな質感が簡単に表現できます。
まずはベースとなる灰色を普通に塗装し、比較的新しいコンクリートならば白をまぶします。雨水を吸ってカビ等で黒ずんだコンクリートの場合は、さらにその上に黒をまぶすと、経年劣化したコンクリートのような質感になります。また、ベースの色を濃くすることで、アスファルトの表現にも応用できます。
■ホームの白線や点字ブロックを表現するには?
製品には駅名票や看板といった標示類がたくさん収録されたステッカーが付属していますが、ホームの白線や点字ブロックを表現するものは含まれていません。これはキットのみならず、多くの完成品でもこの問題に直面します。作例では昭和40年代と現在の2つの時代設定を再現するため、昭和40年代では白い点線を、現在では点字ブロックとすべり止めの表現をしました。点字ブロック類はパソコンで作図してラベルステッカーにプリントしましたが、白い点線は0.5mmの極細修正ペンで表現しました。
■完成!2つの時代を再現した対向式ホーム
コンクリートの色表現や、駅舎・ホームの設備類を作り分けることにより、昭和40年代と今現在の私鉄風の対向式ホームを再現しました。
使用したグリーンマックスの対向式ホームは、発売当時の30数年前では当たり前に見られた駅設備がそのまま再現されています。それが今、昭和40〜50年代を再現するのには最適な製品となり、現在の姿を再現するにも、昭和の懐かしさの中に最新設備が混在する、現在の私鉄駅のシーンが再現できるのです。
↓2つの時代が共存!完成写真はこちらから!↓
※こちらの記事は『RM MODELS 198 2012年2月号』の記事から抜粋しており、情報は当時のものとなります。あらかじめご了承ください。
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