text & modeling:上石知足(鉄道ホビダス)
秋らしい景色といえばやはり赤く色づく紅葉。ですが、実際の紅葉の見頃はすぐに過ぎ去ってしまいます。そこで鉄道模型で紅葉の景色を作り、いつでも好きな時に秋の風景が楽しめるミニジオラマをA5サイズで作ってみることにしました。
↓ジオラマの製作過程の写真はこちら!↓
■ジオラマの仕様
このジオラマはA5サイズの木製ジオラマベースを主体とし、その上にスタイロフォームと石粉粘土を積層して、下地処理はタミヤのテクスチャーペイント ダークアースで行ない、直線の線路はKATOのユニトラックS186を使用しました。基本的に切って塗って貼ってという比較的お手軽な作業のみで完成させています。特にテクスチャーペイントでの下地処理は塗るだけで地面表現が簡単にできるので初心者にはおすすめ。その上から木や草などを撒いて変化をつけていくとより良くなっていくでしょう。
また、今回の情景の構成は奥側が山、手前を築堤として立体感と遠近感を簡単にですが出してみることにしました。最初はトンネル付きのジオラマにしようかとも思いましたが、A5という限られたスペースでトンネルと後述の樹木を植えるのを現物合わせで確認してみたところ、意外とぎゅうぎゅうになってしまうことから、ここではトンネルを作るのは見送りました。小さいジオラマですので、要素をどう絞って作るかも重要なポイントに思いました。
■遠景と近景で樹木の素材を変える
ここで今回試してみたことの一つとして、一番目立つ手前の木をKATOの広葉樹キット(大)の木をベースに、ジオラマ糊を用いて天然素材樹木 (黒染め)で肉付けし、その後ジオラマ糊スプレーを吹き付け、2色のナノプランツ(深緋・金色)を振りかけて、スポンジ表現より精密な樹木を作ってみました。単色で表現するよりも2色使うことで深みのある色になるほか、細かい枝などの表現もできてより精密な樹木となりました。初めて天然素材樹木を使いましたが、思いのほか簡単に形を作ることができました。
なお遠景の山は逆にスポンジ表現とし、ジオラマに遠近感を持たせるように作ってみました。ですが、こちらのスポンジの樹木たちもただ単色のものを貼り付けただけでは単調になってしまうので、スポンジの上からさらにスーパーフィックスを垂らしてKATOのナノプランツ(金色)を振りかけて色に若干の変化をつけてみました。
ただ、反省点としてはパウダー系表現をした後に線路の塗装をしたがために、茶色い塗料がパウダーに若干染み込んだりなどしてリカバーする必要が出てしまいました。皆さんがチャレンジする際は必ず線路の塗装を済ませてからパウダー・樹木表現をしましょう。
実景では一瞬で過ぎ去ってしまう見頃の紅葉を、小さくまとめて作ってみるのはいかがでしょうか? 今回「紅葉編」を銘打っていますが、このジオラマは一応線路を接続可能にしているので、いずれ四季折々のジオラマを作って、季節を周遊するかのようなレイアウトにできたらな…と絶賛構想中でございます。
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◆鉄道ホビダスの鉄道模型入門記事シリーズ!
■今月の『RM MODELS』は「ミニシーン」特集!
鉄道模型の楽しみ方の一つである「情景模型」。ノスタルジックな郷愁を誘う風景、旅先での思い出や名所、四季を感じる風景など、それぞれが思い描く鉄道シーンを、まるでキャンバスに描く絵画のように、限られたスペースの中に立体的に再現します。
風景の一角を切り取る「ジオラマ」は、動きのない中に生活感や躍動感を再現して「動き」を魅せるのに対し、鉄道模型の醍醐味で ある「走行」を加えた「ミニレイアウト」もまた、小さな世界観を創り出す楽しみ方の一つ。これらを「ミニシーン」と称し、小さいながらもさまざまな角度から眺めて楽しめる、部屋のかわいいインテリアにもなるひとつのディスプレイを創出します。
本特集では、そんなミニシーンのテクニックや個性豊かな数々の作品を紹介していきます。また、ミニシーン作りに欠かせない 最新ジオラマ素材の種類や使い方もわかりやすく解説していきます。秋の夜長…就寝前のほんのひとときに、「ミニシーン」に浸ってみてはいかがでしょうか?