185系

特集・コラム

おもちゃを超えた本気のリアル造形!豊富な製品に恵まれたプラレール「0系新幹線」の近代史。

2022.10.07

text & photo:なゆほ

 60年以上の歴史があるプラレールの製品・歴史・情報をまとめ、自身のホームページ「プラレール資料館」で公開しているプラレールコレクター なゆほさん の鉄ホビ新連載!長い歴史を持つプラレールというおもちゃをコアな目線から語っていただきます!今回はプラレールの中でも特に製品に恵まれた初代新幹線「0系」の近年の製品史について語っていただきます。(編集部)


 プラレールの0系新幹線というと、鼻が赤く光るおもちゃ然としたものを連想する人がまだいるのではないでしょうか。鼻が赤く光るものの商品名を「ライト付ひかり号」といい、1979年から1996年まで発売されていました。

 バリエーションは多種多様で、台車にスノープラウを付けて200系に仕立てた「東北上越新幹線」や、そのリニューアル車をモデルにした「ニュー200系新幹線」、黄色い車体に青、または緑の帯を巻いて922形・925形に仕立てた「ドクターイエロー」はもちろん、JR西日本の「ウエストひかり」「フレッシュグリーン」に、1999年にプラレール40周年を記念して発売された鼻が黄色いバージョンなどもあります。
 プラレールにおける0系の歴史は東海道新幹線開業と同時期の1965年頃に発売されたため、細かく取り上げるとキリが無くなってしまうので今回は割愛し、タイトルの通り、近年におけるプラレールの0系新幹線事情に焦点を当てていこうと思います。

■これがプラレールの0系だと!?

▲2004年7月25日に「新幹線なるほど発見デー」で発売された新規造型0系の第一号。大きなJRマークが特徴的なJR仕様だ。

↓今回紹介する0系の詳細画像はこちらで!↓

 1996年の「ライト付ひかり号」絶版後も金型自体は現役で、「ウエストひかり」「ニュー200系新幹線」「ドクターイエロー」に使用されていましたが、「ドクターイエロー」のみライト機能を廃止し、リニューアルの上2003年に再発売され、それ以外ものは絶版となりました。
 2002年には「新幹線こだまセット」としてフレッシュグリーン色も登場しましたが、これはセット限定の一発ネタ。2003年の鉄道の日には、ライト機能を廃止したリニューアル後の金型で「0系新幹線」が久しぶりに発売されましたが、これも限定品でした。

 しかし2004年の夏、事態が一変する出来事が起こります。JR東海のイベント「新幹線なるほど発見デー」でこれら「ライト付ひかり号」由来の金型とは異なる完全新規金型の0系新幹線が発売されたのです。

 この金型そのものは2000年に発売されたセット品「TVで遊ぼう!ぼくはプラレール運転手」のカメラ付きドクターイエローを改修したものですが、当のドクターイエローはあくまでもカメラを搭載した特殊仕様であり、それ以上の発展は見込まれないものでした。
 それをしっかりと「0系」として発売した事で、プラレールファンに衝撃を与える結果となったのです。この新規で造形された金型の0系は、側面窓が小窓の2000番代をモデルとしており、既存の「ライト付ひかり号」金型と区別する意味合いで、ファンの間では「新規金型」と呼ばれていましたが、後述の事情により最近はあまり耳にしなくなりました。

 この7月発売のものはあくまでもイベント限定品で全国流通品ではありませんでしたが、同年10月に発売された全国流通品「東海道新幹線開業40周年記念スペシャルセット」にさよなら運転仕様の0系が入ったことで、この金型の地位は確実なものとなりました。また、2007年6月に発売された「JR西日本スペシャルセット2」ではフレッシュグリーン色が登場し、当時現役だった0系の姿をリアルな造型で楽しめるようになります。

■とうとう引退を迎える0系

 2007年末、山陽新幹線に残っていた0系が2008年に引退する事が発表されます。それに伴い、40年以上に亘り新幹線を支えてきた0系の引退を記念し、2008年10月14日に「ありがとう夢の超特急 新幹線ひかり号セット」が発売されました。これもまたプラレールファンに衝撃を与えるものでした。

▲「ありがとう夢の超特急 新幹線ひかり号セット」と「さよなら0系新幹線 フレッシュグリーンセット」。「新幹線ひかり号セット」の曲線は初登場となる外側高架曲線が採用され、カーブの緩い新幹線を再現。「フレッシュグリーンセット」の方は高架直線レール4本と記念プレートのみという展示用セットだった。

 今までの新規金型0系ではパンタグラフ無しの25形7000番代をモデルとした中間車1両のみが存在していましたが、このセットでパンタグラフ付きの26形7000番代と、ビュッフェ車の37形7000番代が新規制作の上追加され、堂々とした5両編成でのデビューとなりました。また、編成番号は引退時まで残っていたR61編成に指定されました。

 続いて2008年12月には、プラレールの歴史の中でも異色となる展示前提のセット「さよなら0系新幹線 フレッシュグリーンセット」が発売されました。こちらは実車同様の6両編成となりましたが、先のセットで不足していた1両である26形7200番代は既存の7000番代で代用されています。リアルな6両編成としつつも中間車は共通化を図るという、プラレールらしさが垣間見える微笑ましいセットです。

■引退後の動向は?

  有終の美を飾った0系。プラレールでの展開もこれまでか…と思われましたが、そこはやはり夢の超特急。引退後も夢を与え続けます。0系が引退した翌年である2009年は、プラレール50周年のアニバーサリーイヤーでした。これを記念して2010年3月に発売された「ぼくらのプラレール 50th Anniversary 上巻」の付録として、「ウエストひかり」が登場します。

 同年11月には「0系新幹線6両編成セット」が発売。2008年のセットは5両編成だったものが6両フルとなり、ファンが大いに喜んだ製品でした。こちらも晩年まで活躍したR68編成がモデルとなっており、ただの「夢の超特急セット」の増強版とは言わせない細かな差別化が図られている嬉しいセットです。

 ちなみに、実車のR61・R68編成にはビュッフェ車37形は組み込まれていません。編成の見た目にアクセントを加える事からあえて入れたものと考えられますが、こういったポイントにメーカーの拘りが光る製品と言えるでしょう。

■装いを新たに復活!ライト付ひかり号

 2014年、東京駅開業100周年の年。プラレールではこれを記念してセット品を発売しますが、これがまたファンに更なる衝撃を与えるものでした。

 なんと開業時の0系を再現した0番代、所謂「大窓車」が登場したのです。開閉可能な運転台窓、登場当時のアクリル光前頭を再現したグレーの鼻、そして中間車は金の縁取りがされたドアを持つ一等車となり、東京駅100周年のセットに相応しい造型となっています。また、よく見ると2000番代には存在しない非常口とサボもモールドでしっかり再現されており、究極の0系0番代に仕上がっています。この0番代は2017年に「ライト付0系新幹線」として単品発売され、2022年現在もプラレールショップで入手可能です。

 このような事情から、0系0番代の金型は「『新規金型』の新規金型」と言うべき存在になってしまい非常にややこしくなったことから、従来の呼び方では混乱が生じるために、2014年以降は「0番代金型」「2000番代金型」のように呼び分けられるようになりました。

▲0番代を再現したライト付0系新幹線の製品群。屋根のルーバーが少ないところなどもしっかり再現されている。

 最後に紹介するのは現時点で最新のバリエーションとなる「ノスタルジックTOKYO 0系新幹線」です。これは開業時のニュース映像で目にする白黒テレビ越しの姿をそのままプラレール化したという異色の製品になっています。

 終わりに、さよなら運転で500系こだまを追い抜いた印象的なシーンがを再現してみました。

▲ひかり347号が新山口駅で500系こだま659号を追い抜くシーン。

 プラレールを初期から支えてきた0系新幹線。実車の引退から14年が経ちますが、今でも根強い人気を持つ車両です。最新の新幹線、N700Sと共にラインナップされている0系。青いひかりの超特急として、今も青いレールの上をビュワーンと走り続けます。

※記事で紹介した製品には絶版となったものが含まれています。

◆鉄道ホビダス関連記事

イベントで見る“あれ”どうやって作っているの? プラレールの大型ジオラマの作り方を聞いてみた!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加